『豚~ブタ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~ブタ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~ブタ~』 「豚を知ってますか?」  何の脈絡もなく隣にいる梔さんが、俺に話しかける。 「社長、聞いてます?」 「え? うん。聞いているけど」 「なら、答えてください」 「え、まあ豚くらい知っているけど。どうした?」 「豚って、とても綺麗好きらしいですよ。あのなりで」 「あのなりで、て……」  さらっと酷いというか失礼なことを言うなあ、と思いながら。  俺は梔さんを見る。 「で、その綺麗好きな豚の話を、なぜ、急にしだしたの?」 「いや、先日そのことを合コン...

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『豚~食われる~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~食われる~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~食われる~』 ふとTVを観ていると 「この豚はなんでこんなに美味しいんですか?」とどこかの芸人が尋ねた時に、 「実は良質などんぐりを日々食べさせているからなんです。」と応えた瞬間に画面が切り替わった。 そこにはどんぐりを一心不乱に食べる豚が映しだされ、それを見守る養豚業者の方がいた。 僕は何気なく『豚 食われる側』と検索する。 すると、『千と千尋の神隠し』において何故千尋の両親は豚になったのかというサイトだった。 そこには、新たな場所に踏み込んだ時に生命力を発...

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『豚~跳べない豚~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~跳べない豚~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~跳べない豚~』 「飛べない豚は只の豚」 なんて言葉が生まれてから、どれだけの太ったことが嫌な思いをしたことか 「次、藤川」 先生に呼ばれて、僕は重い腰を上げる。 「ブタじゃん」 「どうせ無理だよ」 みんな、僕に聞こえないように、なんて気を遣うことはしなかった。 遠くにある跳び箱を見つめた。 四段、60センチの木箱にさえも笑われてる気がした。 ピッ、と笛の音で動き出す。 笛一つで動き出す。この行為さえも、自分がしつけられた豚のように思えた。 ゆっくり...

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息子2歳3カ月/娘0歳4カ月『神戸アンパンマンミュージアム、外への欲求、兄妹の違い』

息子2歳3カ月/娘0歳4カ月『神戸アンパンマンミュージアム、外への欲求、兄妹の違い』

『神戸アンパンマンミュージアム』 に行って参りました。学生以来、久しぶりに神戸に行くと凄く綺麗で良い街だと改めて感じました。 特にMOZAIC UMIE ハーバーランド 神戸タワー 美術館 アンパンマンミュージアムと海岸沿いは良いですね。丸一日遊べます。 UMIE第6パーキングに停めると目の前がアンパンマンミュージアムです。 平日に行けば3時間は駐車料金無料なのでオススメ。午後からだと駐車場は満車でしたので、10時迄に行くことをオススメします。 アンパンマンミュージアム...

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『アルバム~卒業~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~卒業~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~焦燥感~』 ホームルームの時間にも関わらず卒業アルバムが配布されるとクラス中がお祭り騒ぎになった。 教師も卒業間近の生徒たちを咎めることなど無く、一緒にアルバムを捲り懐かしんでいるようだった。 生徒たちもスマホを取り出し教師に写真を求めるなど、もう自制が効かない状態だった。 僕はホームルーム自体がこのままいつ終わるのだろうかと内心いらいらしていた。 この雑音まみれの教室から早く出たいのだが教師自体がこの調子では『終わり』が見つからない。 でも僕は教師に対し...

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『アルバム~笑顔~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~笑顔~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~笑顔~』 最後の挨拶が終わり、教室の中央には大きな輪が形成されていく。 扉から出て行く俺に背中を向けているにも見えた。 すでに教科書は自宅に持って帰っていたため、この日唯一の荷物と言えば大きな卒業アルバムだった。中身に興味がない俺にとっては只の重たい紙の束でしかない。 「ただいまー」 「おかえり、卒業おめでとう、早かったね」 母さんは俺が卒業式なのにすぐ帰って来たことに対して、何も思わないのだろうか。 俺は何も言わずに、アルバムをリビングのテーブルに置...

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『アルバム~回想~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~回想~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~回想~』  火野(ひの)先生は、僕たちオカルト研究会の顧問である。  昔、火事に遭って、右目の視力を失い、火傷を負ったため、包帯で顔の右を隠している。  いつも、火野先生は笑っている。  ニコニコしていて、優しい人。  授業は面白いし、部活では少し離れたところで僕たちを見守ってくれている。  そんな火野先生は、たまに懐かしそうに古いアルバムを開いて見ている。  今日も、見ていた。  何となく気になって「先生」と声をかけると。  火野先生は、静かにアルバム...

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『切符~嵌め方~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~嵌め方~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~嵌め方~』 切符の端を折り曲げて改札に通すとどうなるかを僕は知っていた。 高校生の頃、友達と興味本位で試したことがあるからだ。 僕はこの知識を誰に教えるわけでもなく、何かに役に立つなんて思ってもいなかった。 だが、こいつだけは許せない。こんなに図々しい奴が平気で生きてる状況に僕は腹を立てていた。 まずそいつは降りる人が優先という暗黙のルールを破り、肩をぶつけながらも車内に入ってきた。 図体がでかく、態度もでかい。ずっとそうやって生きてきたのだろう。 電車内で...

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『切符~旅立ち~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~旅立ち~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~旅立ち~』 この町に住んで、三十年近くになった。  こんなに長く住む予定はなかったのに。  気づくと、この町を好きになっていて。  この町の人を好きになっていた。  だが、いつまでもいるわけにはいかない。  ずっと、このまま、なんて。 「ちょっくら、夢を追いかけていきます」  俺が社長に言うと、社長は「うん」と頷く。 「気を付けてね」 「はい。お世話になりました。百鬼社長」 「こちらこそだよ、神呪社員」  社長は優しく俺を抱き締める。 「いつでも帰っ...

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『切符~選んで~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~選んで~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~選んで~』 目が覚めると部屋には私しかいなかった。 おーい、と呼んでも返事はない。 そうか、昨日は妻と喧嘩して、仲直りをしないまま寝てしまったんだった。 喧嘩の理由なんて些細なこと、俺は忘れてしまった。 スマートフォンを確認してみたが連絡はなかった。 その代わりに画面の上部にはニュースが表示されている。 なにやら最寄り駅近くの線路で事故があり、列車に遅れが出ているらしい。 事故があった駅を含めて、私の家の近くにはJR、地下鉄、私鉄と3つの駅があった。 どこか...

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