『白のセーター』白川湊太郎〜ショート小説コンテスト①〜

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【白のセーター】

白、みなさんはこの色からどのような連想をしますか?
清潔、清純、純粋、おそらく良いイメージをお持ちの方が多いと思います。
色の力は不思議で、服やアクセサリーなど白い物を身に着けている方は、それだけで好感度が上がるのです。
私はその中でも白のセーターを着ている男性に惹かれます。
白には清潔感があります。それだけではありません。毛糸という素材は身体的な暖かさだけでなく、その見た目から優しさや心の暖かさが感じられ、それを見ている周りの人にも良い印象を与えることができるのです。
白のセーターは、それだけ大きな力を持っているのです。

しかし、世の中にはその力を悪用する人間も潜んでいます。
ある結婚詐欺師の男がいました。男は結婚適齢期の女性を狙って言葉巧みに近づき、性交渉を行い、女性からお金を騙し取ると行方をくらますのでした。
私はこの男に騙されて、心と身体を弄ばれた女性を知っています。
服が与える印象は大きいもので、騙された女性は特に顔が整っているわけでもない詐欺師の男を見て「とても清潔感があり、優しそうな人だった」と話していました。

私はどうしても、この男が許せませんでした。
この男には白のセーターを着る資格はないと思いました。
白のセーターで醜い本当の姿を隠しているだけなのです。
そこで私はあるアイデアを思いつきました。

その日も男は自分の欲望を満たすために、女性の元へ向かっていました。
私は男の行く手を阻むように、彼の前へ立ちはだかりました。
「なんですか」
男は不思議そうな顔をしています。
私はずっと思っていたことを伝えました。
「お願いなので、白のセーターを着ないでもらえませんか?」
「どうしてあなたに、そのようなことを言われなければならないのです」
不機嫌になっていく彼の目、その目には騙されて身体も心も弄ばれた女性の苦しむ顔が映っていました。。
「白のセーターはあなたのような人間が着る資格はないのです」

私はコートのポケットから隠していたナイフを取り出し、両手で強く握り、刃先を男の方へ向けました。。
男はまるで自分がこんな目にあうとは思っていなかったようで、とても驚いていました。逃げられたら良かったのに、足が竦んで動けない様子でした。
「待って、待ってくれ」

 白のセーターを着た男は両手を身体の前に出して、許しを請う態度を見せています。
そういえば、白には降参という意味もあるようでしたが、そのときの彼はそこまで考える余裕はなかったでしょう。

「許さない…」
私の握っていたナイフはセーターを突き破って、男の腹部へと刺さりました。
男の身体から流れる大量の血液。
白のセーターの一部である白の毛糸はナイフの刺さった腹部から血液を吸い取り、隣の毛糸へ、またその隣の毛糸へと、次々に赤を伝えていきました。
そして男の着ていた白のセーターはいつのまにか赤に染まったのでした。

赤は危険、残酷、怒りの色
自分の欲望のため女性を騙す危険な色
女性の心と体を弄び、傷つけても何とも思わない残酷な色
騙されて今も苦しんでいる女性の怒りを表した色

白のセーターから着替えてもらいました。
結婚詐欺師のあなたにお似合いの色だと思いますよ。

〜白川湊太郎〜

ショート小説コンテスト

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