『ホールケーキ〜蝋燭を一気に点ける方法〜』黒川洸太郎−ショート小説コンテスト⑤

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『ホールケーキ〜蝋燭を一気に点ける方法〜』

神聖ローマ帝国の頃から変わらない石畳は歩きにくい。
深い黒色の石畳は何百人何万人と様々な民族に踏みしめられ、神々しく光っている。
街灯は明るすぎない。道をうっすらと照らしているだけだ。

どうやって外すのか分からないマンホールに猫がいる。
僕らが歩きすぎるまで全く動かない。その場所が家であり、僕らが通行人なのだ。
街の真ん中にある城は奇妙なまでに暗い。
昼の存在感とは違う圧倒的な力を感じる。

凄く静かだ。街を革靴で歩く僕のカツカツ音が雑音に聴こえる。
川の流れも聴こえる。街をぐるりと囲む川だ。
もうすぐ夜明け。これをまだかまだかと待っている。

少し明るくなってきた。
街が一望できる橋へと急ごう。
オレンジに朱色を加えた様な屋根の畝が視界に広がる。
真ん中には城の塔がそびえ立つ。
そこに朝日が差し込むと、オレンジ色が黄金に変わる。
家壁の白と黄金のコントラストが絶妙だ。

朝日がチェコの街チェスキークルムロフを包むとき、僕らは幸せな気分になった。
まるでホールケーキに刺した多くのロウソクが一気に燃え上がるようなんだ。

〜黒川洸太郎〜

ショート小説コンテスト

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