『とんかつソース〜遺伝だから仕方ないこと〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト13

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『とんかつソース〜遺伝だから仕方ないこと〜』

昔から友達が欲しかった。
小学校中学校と、みんな俺を怖がっていた。そりゃそうだろう。小さなことで苛つくんだから。
俺がダメな原因は確実に遺伝であり育った環境だ。
親父もそうなんだ。
晩ご飯の時、おかんがとんかつソースを倒し、親父の皿にぶちまけたんだ。
その時の鬼の形相を忘れられない。殴る。蹴る。殴る。蹴る。

俺が消しゴムを拾おうとした時に、たまたまユウジの足に当たり、それは遠くに転がっていった。
その時、俺の中で何かがはじけ、頭が真っ白になり、ユウジを殴りつけていた。
悪気とかそうゆう類ではない。自分の怒りの感情が俺は制御できないんだ。

いいとこまでは行くんだぜ。
中2の頃クラスが変わった時は心を入れ替えたのさ。
なるべく苛つかない様に心掛けてたんだ。
それがさ、体育の時間にソフトボールをした時にだぜ、バッターボックスに入ってた俺に球をぶつけやがったんだ。
もちろん俺はピッチャーの顔を見ずに一塁に歩いたさ。
顔を見たら何かがはじけてしまうからな。

ピッチャーはうろたえてたよ。
改心したからといって、1年の頃の噂は回ってるから。
ごめんの一言って怖過ぎると言えないみたいなんだ。
でもよ、一塁のデブが「下投げだから痛くないよね。」って言ってきたから、

俺は「そうだな」と答えたんだよ。そしたらさ、ピッチャーがこっち見てちょっと笑ってたんだよ。
そこからはもう覚えてないね。気がついたら手がちぎれるぐらい痛かったな。

結局高校も友達が出来なかったよ。
暴力を振るう奴なんて最低だからな。
あそこは家庭環境が悪いから仕方ないよって同情ぐらいはされてたかもしれないけどな。
それはそれで苛つくぜ。

高校を卒業すると家を出たんだ。
おかんには申し訳なかったけど、自分を変えたいんだと言うと、何も言わずに10万くれた。

初めて稼いだお金で白のスニーカーを買った。
彼女も出来た。
生活は苦しいがなんとかやっている。
食卓の上にはとんかつソースがある。

−黒川洸太郎−

ショート小説コンテスト

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