『黒のTシャツ~お前いつもそれ着てるよな~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト14

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『黒のTシャツ~お前いつもそれ着てるよな~』

彼はいつも黒のTシャツを着ているので一度質問してみた。すると彼は「服を毎日選ぶのが面倒だから」とぶっきらぼうに言う。私は、じゃあ白ではダメなのか?と問うが、「別にどっちでもいいよ。しょーもない。」と言った。

人には人の都合がある。もしかしたら彼は身体に大きな傷があって、それが少しでも透けてみえてしまうのを嫌がってるのかもしれない。

さはさりながら、気になる人のことは深く知りたいものだ。彼が黒のTシャツを着る理由をあらゆる角度から考察する。

私はまた彼に質問する。「赤と青どっちが好き?」彼は「赤」と答える。「じゃあ赤と白は?」「白。よくそんなくだらない質問が出来るよな。」私もそう思う。

もう少し深く聞かないと考察のしようがない。ただ深く聞くということは、真相に触れるということ。なら直接的に聴けばいいものの、何故か怖くて聞けない。

そこで私も毎日黒のTシャツを着てみることにした。少し勇気のいる決断だったが、少し彼に近づいた気がして嬉しかった。友達からは似合わないだとか、イメチェンだとか言われたけど、彼が私の方をみるたびに、何を思っているのか気になった。

確かにトップスを決めていれば楽だった。しかもシンプルなものを中心に据えることで、今まで履いてなかった花柄のスカートや、チェックのパンツも履けるようになった。何よりも色を絞ることで少しコーデにまとまりが生まれた。自分の形を決めるということは、考え方をシンプルにさせる特効薬だった。これが答えかも・・・

私は彼に質問をした。「余計なこと考える時ってあるの?」「ない。」これはなかなか確信めく良い質問だと自画自賛した。彼の思考回路や考え方の一旦を垣間見た。それは何も考えていないという訳じゃなく、色んな世界を観て、感じて考えた結果、それが一番優しいことだ気付いたのだということが、私には分かる。

「お前何なんだよ最近。俺をおちょくってんのか?」Tシャツのことだろう。すぐに察したが一応「なにが?」と聞く。「まぁいいよ。気持ち悪いなぁ。」私は傷ついたが、傷ついてないフリをする。

彼の友達が何気に聞く。「お前なんでいつもそのTシャツなの?」

「彼女に貰ったんだよ。」

−黒川洸太郎−

ショート小説コンテスト

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