『向日葵~原色とモノトーン~』黒川洸太郎−ショート小説コンテスト15

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『向日葵~原色とモノトーン~』

遠足で向日葵園に行った時の話。

その日は晴天で原色の青、黄、緑が目に痛かった。

みんなが奇麗だ奇麗だと口を揃えて言うが、どうかしていると思った。

近くで見てみると向日葵はブツブツして気持ち悪かった。

本に載っていた通り、全てが太陽に向いている訳ではなく、腐りかけの向日葵はしょぼんと地面を向き、立っているそれよりもよほど不気味で気持ち悪かった。

ケラケラ笑いながら何の悩みも無い奴らが走り回っている。

立派に育った茎を手で乱暴にかき分け、根に近い部分の茎を踏んでいく。

そこからばい菌が入り、どんどん黒くなり、腐り果てていく未来をイメージした。

よく見ると奇麗だと見とれる女子たちの足下には、そんな未来を具現化したそれが広がっている。弱者の犠牲の上に成り立っている世界はどこも一緒なんだなと真理を感じた。

目の前の美しさしか見えない彼女たちには、その犠牲で成り立つ世界は想像できない。

父親が死んで、母親と2人で暮らしはじめた時、誓った事がある。

母親をいつか笑顔にさせてあげたい。昔はこの向日葵のようによく笑っていたんだ。

色んな犠牲を孕んで咲く花と、咲かなくなった母の笑顔に真理はあるのだろうか。

僕にはまだ分からないが、ちっとも奇麗だと思わないこのブツブツが奇麗だと思えないと、結局は何も変わらないんだと知っている。

−黒川洸太郎−

ショート小説コンテスト

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