『麒麟~最強の生物~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト17

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『麒麟~最強の生物~』

『基本的に人間ってのはさ、無敵になりたいんだと思う。
マリオで言うとスターを纏っている時間。それが永遠に続くと余裕で全クリしちゃうんだ。
くだらない上司も、生意気な女もさ、無敵の俺には勝てないのさ。
あーこの人には絶対勝てないなぁって相手も思ってるしさ。
ノンストレスだよ。ノンストレス。無敵。ノンストレスさ。』

電車からの車窓を眺めながらそんな事を考え、途中から詩的だなぁと思ったので、少しメロディをつけたりした。
仕事の人間関係に苦しみ、明日の朝も吐いてから会社に行くと思うと、毎日が地獄だ。
だからこの電車に揺られる時間ぐらい、俺の妄想に付き合ってくれよ。

『スターが無ければどうしようか?無敵という選択肢はゲームの世界ですら一定期間に限られていて、ゲームによればリスクを背負う事もある。
そうなってくると、考えつくのはレベル99のミューツー。これ最強。
基本サイコキネシスで一発で殺せるんだから。
くだらない上司も、生意気な女もさ、コマンド一つで服従さ。へーっくしゅん!!』

隣のおっさんの突然のくしゃみが俺の妄想に入り込んだ。
信じられないくらい臭い。現実の臭いだ。ひどく気分を害した。お前みたいな社会の毒もある意味最強なんだよ。
役に立たなくても何も思わず、嫌われる事に慣れ、逆算で退職金を狙ってる。
おめぇ最強だよウンコ野郎。邪魔すんな。

ウンコ野郎のせいで現実に戻る。
ミューツーも思ってみれば元から強いんだよ。レベルも70越えたらもう最強じゃねぇか。元が良いのが強い。これ当たり前。
イケメンも資産家も元が良いから最強。
元が無いならどうするか?

『頭をジョブズと交換し、顔を伊勢谷と交換し、身体をボルトと交換してみる。
俺というパーツは無いけれど最強だ。
ノンストレスに生きるのには、俺が俺じゃなくなる以外に道は無い。
【麒麟】だ。麒麟は龍の顔を持ち、馬の身体に、鱗を持ち合わせる。
俺は麒麟として生きる。プシュー!!』

到着駅に着いた。踏み出すと革靴のラバーが取れかかっていた。階段を左足から1段飛ばしで上がる。汚いカバンから定期をとりだし、改札を抜ける。

一つ一つの行動が、悲しいくらいに自分だった。

−黒川洸太郎−

ショート小説コンテスト

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