『ゴミ箱〜転職〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト29

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『ゴミ箱〜転職〜』

まるで今までのことが無かったかのように過ごす。
経験やスキルも新たな環境ではゴミ屑も同然である。
結局は慣れの問題で、それもこれもあれも人間関係で成り立っている。

社会においてミュニケーション能力が重要視されてるのはこうゆう点なのだと気づく。
自分より馬鹿で仕事が出来なさそうな奴でも、先輩とクラブではしゃげるノリさえあれば何故か評価が高くなったりする。
馬鹿まじめに参考書片手に仕事している僕なんかは、この転職先の会社にとって空気も同然。ゴミ箱にも入れてもらえない塵みたいなもんだろう。今日もそんな日々が続く。

「おい。この資料間違ってるぞ。」直属上司の山脇が僕を呼ぶ。
「はい。すみません。どこでしょうか?」
「こことここ。あと、全体的に見にくいんだけど。」
「分かりました。見やすいように工夫します。」
「出来るんなら始めからしろよ。」

山脇の机は窓際にあり全体を見れるポジションにあるのだが、僕は知っている。
こいつは暇があるとYouTubeでゴルフの練習動画を観ている。
たまに資料をチェックしては指示をし、資料が完成してしまうと自分の仕事が無くなってしまうから、適量まで未決済BOXに溜めている俗にいうクソだ。

バブルの頃に売上を作り、上とのコネクションを形成しただけの存在の何が偉いのだろうか。
ただ何年か先に生まれ歳を重ねただけで人間は人間に上下を付けて良いのだろうか。
僕は資料をまとめあげまた山脇の未決済BOXに入れる。
全く忙しくないのに、忙しい素振りをしなくてはいけない山脇はこちらを一切向かずにパソコンにかじりついている。

僕は席に戻り、前回提出した資料をシュレッダーにかける。
ジャリジャリジャリジャリ
子気味よい音をたてて、今日も社会にゴミが溜まる。

-黒川洸太郎−

ショート小説コンテスト

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