『ノート〜愛情耽溺〜』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト30

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『ノート〜愛情耽溺〜』

名前 佐々塚優(ささづかゆう)
年齢 24
性別 男
職業 教師
誕生日 12/5
十二星座 射手座
十三星座 蛇使い座
血液型 AB型Rh-
身長 184.5㎝
体重 74㎏
弱視で眼鏡とコンタクトを両用している
味覚障害で普通の食べ物が食べられない
無痛無汗症
利き手 左
利き目 左
利き脚 右
運動は左、だけど剣道や弓道など武道は右
習字は右
優しい声で、人の隙に入る
隙に入られたら、もう終わり
恋人 有り
童貞ではない

「このくらいかなあ、まだ」

 俺はため息混じりに呟き、ノートを閉じる。

「まだまだ書かないと」

 佐々塚さん。
 俺の思い人。
 男らしい低い声で、優しい口調。

「ふふっ、俺があなたのストーカーだって知ったらどうなるかな」

 マスクの下で、小さく笑うと佐々塚さんは心配そうに俺に声をかける。

「風邪、まだ治らないんですか?」

「ええ。まだ咽喉(のど)が痛いんですよね」

「そうですか。早く良くなると良いですよね。この仕事、咽喉が大切ですし」

「まったくです」

 俺が頷くと、佐々塚さんは「どうぞ」とほうじ茶を渡す。

「効くかどうかはわかりませんが、佐々塚家では風邪のときは温かいほうじ茶をゆっくり飲んだりするんです。良かったら、どうぞ」

「どうも」

 もらったほうじ茶は温かくて、優しい味がする。

「久しぶりに飲みました」

「そうですか。あ、ところでそのノートはなんです? 普段使っているノートとは違いますね」

「ああ、これはメモ帳のようなものです」

「メモ帳にしては、B5サイズで、大きくないですか?」

「ええ」

 ケホッと軽く咳をして笑う。

「でも、このサイズじゃないとダメなんですよ」

「?」

「忘れないように、細かく書いておかないと」

 あなたのことを。
 細胞の数まで、書いておきたい。
 全てを知りたい。

「大切なことですから」

「すごいですね。俺にはできませんよ」

「知っています。あなたが、とても不器用で雑なの」

「え?」

「見てきてたから」

 ずっとね、と笑うと佐々塚さんはビクッとする。

「ストーカーみたいだ」

「ふふふ」

「……もしかして、あの、」

「ストーカーではありませんよ」

「ですよね」

「ええ」

 頷きながら、佐々塚さんを見る。

「そう言えば、そろそろ三年五組に行かないとでは?」

「え、あ、本当だ。うっかりしてました」

「佐々塚さんはよく授業をするクラスを忘れますよね」

「ええ」

 頷きながら佐々塚さんは授業の支度をする。

「川中(かわち)さんは、よく覚えてますよね。俺のクラスとか」

「あなたが忘れやすいからですよ」

「ありがたいです」

 ニコッと笑って、職員室を出ていった。

 出ていくとき、一瞬素に戻る。
 それが佐々塚さんの癖だ。

 その素は、たとえるならRPGのラスボス。
 大魔王。帝王。
 酷く冷たくて、人の心なんてない。

 その表情を見るのが、たまらなく好きだったりする。

――疲れていたのかな?

 話しているときも、その表情が出ていた。

「書いておこ」

 ノートを開いて、丁寧に記す。

不器用で、雑
物をよくなくす、壊す
破壊したチョークの数は何百本

「隠そうったって無駄なんですよ」

 俺は知っているから。
 全部。全部。

 あなたがサイコパスだって知っている。
 人を殺したことがあることも。
 食べられるものは、人の肉。
 飲めるものは、人の血液。

「ほうじ茶は、ご両親が飲んでいたのかな……」

 優しくて、温かい。
 けど、この味はあなたは知らない。

「まったく、残念な人だ」

 でも、それでも愛している。
 愛していますよ、佐々塚さん。

 俺は小さく笑って、ノートに貼ってある佐々塚さんの寝顔の写真を撫でた。

-緑川凛太郎−

ショート小説コンテスト

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