『エスパー~マジックパワー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト33

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『エスパー~マジックパワー~』

引馬(ひくま)さんはすごい人だ。
 精神科医というだけで、まずすごいのだが。
 それだけではなく、学生時代はプロレスをしていたし。
 少し前まで、芸能界にいた。
 他人に優しくて、自分には厳しい。
 泣いている子供がいたら、涙を拭いて。
 どこからともなく、あめ玉を出してあげる。

「引馬さんって、本当はなんの人なの?」

 僕は気になって、引馬さんに訊く。

「何も話したりしていないのに、僕の気持ちとかわかるし」

「ん? それはわかるさ」

「え、エスパーだから!? エスパー魔美だからか!!」

「左坤(さこん)くん、君は年はいくつなのかな?」

「二十五になった!!」

「そうだね。先日、誕生日だったもんねえ」

 よしよし、と引馬さんは僕の頭を撫でる。

「大きくなったねえ」

「うんっ」

 と頷いてから、はっとした。

――話が変わっている気がするっ!

「えっと、えっと、! 引馬さんって、どんなパワー使ってるの!?」

 僕がそう訊くと、引馬さんは少し驚いた顔をして、ニコッと笑う。

「マジックパワー」

「へ?」

「このマジックパワーを使うと、どんなこともわかるんだぞー」

「す、すご! 僕にも使えるかな!!」

「使えるし、使っているんだよ。左坤くん」

 引馬さんはそう言うと、ドアノブに手をかける。

 僕は慌てて「何?」と訊く。

「どんなパワーなの?」

「それは、みんなを癒すパワーだよ」

 ニコッと笑って、引馬さんは出ていった。

 パタン、と扉が閉まった後。
 少しだけ、考えてみた。

――僕、そんなことしてるかなあ。

 まあ、でも。
 引馬さんが言っているから、きっとそうなんだろうな。

 てか、引馬さん。少し悲しそうな感じだった。
 どうしたのだろう。

「…………」

 何かあったら、僕がマジックパワーで助けよう。

 そう決めた。

―緑川凛太郎―

ショート小説コンテスト

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