『食堂~片隅のものがたり~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト34

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『食堂~片隅のものがたり~』

「そこは危険だ。底なし沼だぞ。」トレドが言う。
「こんな綺麗な黄金の沼があるかよ。大丈夫さ。いけるよ。」ピケルが澄み切った目でトレドを諭す。
「分かった。じゃあ行こう。」トレドが意を決した。

ジャブン
「な!なんだこれは。」トレドが驚嘆する。
黄金の沼の中には白い螺旋状の物が奥深くまで繋がっていた。
「大丈夫さ。引き上げてみよう。」ピケルがそう言うと、一気に引き上げた。
「なんなんだこれは?」トレドがそう言うと、ピケルは

「うどんだよ。」と応え、僕はうどんをすすった。
僕は時計を観る。12時15分。13時まであと45分。なんで昼休憩で一時間もとるのだろうか。

「もう15分だぜ。早くグランドいこ!」
うるさい奴らがやっとどこかへ行く。ボールを蹴って何がそんなに楽しいんだろうか。人生でなんの役に立つんだろうか。

「やっぱり変だよピケル。急に上が暗くなったよ。」
「何言ってんだトレド。少しこれ舐めてみろよ。」
「あれ?少し甘い。美味しいよピケル。これも引き上げてよ。」
「これは油揚げっていうんだ。」

僕は油揚げを食べる。

「痛い。痛いよ。そんなに千切らないでよ。」どこからか声が聴こえる。
ピケルとトレドは顔を見合わせ、どこにいるの?と尋ねる。
「ここだよここ!そんなに千切ったら痛いよ。」
ピケルとトレドは顔を見合わせ、不敵な笑みを浮かべ、腰に据えていた短刀でグサグサと引きちぎった。

そして僕は千切った油揚げを食べる。

「あれ?なんだ?どうなってんだよピケル!」
「分からないよ。なぜだか吸いこまれていく。」
「怖いよ。怖いよ。」

『また明日会えるよ。』と思いながら、
僕はスープと共にトレドとピケルを飲み干し、また孤独になった。

時計を見ると30分しか暇をつぶせなかった。
きつねうどんに30分もかける僕はよっぽど気持ち悪いだろう。

後かたづけを丁寧にすまし何をしようか考える。中庭でも散歩しようか。

―黒川洸太郎―

ショート小説コンテスト

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