凍りのくじら

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【大袈裟な言葉や概念を持ち出すのは、私が退屈だからだ。】

主人公「理帆子」のキャラクターが自分と重なる部分が多すぎて、描写1つ1つにドキドキさせられた。

また、人を馬鹿にし過ぎて、いつも所在無さげな主人公と共感している読者を、さらに著者が馬鹿にしているような、不思議な感覚に陥れられた。

お前だけがそんな考えじゃない。なにを読書して特別ぶってんだというメッセージがひしひしと感じた。

物語の構成はさすが辻村さんで、心情の細かな描写から、伏線の回収の仕方まで見事で、うまくまとまっており、最後には人が救われるというハッピーエンドと、SFの要素を使った不思議な世界も読者を引込む。

こうゆう奴おるよなぁ。こうゆう奴馬鹿にして高尚な気分になってるなぁ。とか、とにかく見透かされたようでドキドキした。リアルで小説的。ありえない組み合わせ

作中名言

「所詮は何も大したことのない事態でしかないのに、そこに大袈裟な言葉や概念を持ち出すのは、私が退屈だからだ。日々の暇と閉塞感に適度なアクセントをつけたいと勝手に騒いでいるだけ。」

「いつも、持病のせいとか、親のせいとか、自分の力ではない他のせいにしてきた。だけど、悪いのは自分だと認めなくちゃ。全部を自分の責任だと認めて、その上で自分に実力がないんだと、そう思って諦めなくちゃならない。精一杯、本当にギリギリのところまでやった人にしか、諦めることなんてできない。挫折って、だから本当はすごく難しい」 

「常に理想主義を生きるコイツは、私と同様にこの世界に不在だ。だから馬鹿にできた。私に劣る者だと、彼にだけは執着できた。カワイソがるのは、自分より低い位置に立つ者に対する慈愛の感情。私の恋の盛り上がりは、全てそこに起因する。」

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