ショート小説 一覧

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『望遠鏡~知識の伝達~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~知識の伝達~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~知識の伝達~』 祖父が死んで半年が経った。 言葉が出ないくらいに泣いていた僕も、今や大学の仲間たちと岩手にツーリング旅行をしている。 家が狭いせいで祖父と寝室が一緒だった僕は特に祖父のお気に入りで、いろいろと世話をかけてもらった。 高校の頃に自分の部屋を持ちたいと言った時の祖父の悲しそうな顔が忘れられなくて、寝るときだけは祖父の横に布団を敷いてしばらくは寝ていた。でも、いつからかそれも面倒で自分のソファベッドで寝るようになったっけ。 奥入瀬渓流の近くにバイ...

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『望遠鏡~親子で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~親子で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~親子で~』 晴れた日の夜には無数の星が輝いている。それは人間が作り出した光の多くを排除できたからこそ見られるものだ。私は望遠鏡を通してこの星を眺める度に都会を離れて良かったと思う。 しかし、息子はそうでもない様で、いつも「ここはつまらない」とばかり呟いている。父親である私に付き合わされて田舎へと引っ越すことになったのだから。 「なあ、ちょっと見てみないか?」 「別に、いい・・・」 参考書から目を離さないまま返事が来た。こんな会話を毎日繰り返している。息子は十五歳。...

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『望遠鏡~満天の星~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~満天の星~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~満天の星~』 「引馬(ひくま)さんの家ってさ。望遠鏡あるよね」  神呪(かみの)さんがポツリと言った。  俺は驚いて、彼を見る。 「え、は?」 「いやいや、あるじゃないですか。実家の方に」 「あるけどさ、何で知ってるの」 「見たことがあるから?」 「……君、不法侵入だよね。それ」 「何を仰るか、平沢(ひらさわ)先生に許可得たわ」 「あの野郎……」  平沢先生とは、俺の従兄弟である。  双子レベルで、俺らは似てるし。生年月日と血液型が同じ。  生まれ...

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『キャンプ~タイガーウッズ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~タイガーウッズ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~タイガーウッズ~』 森の木々に囲まれると自分が何者であるか分からなくなる。 都会のビルで日々のしがらみのなか仕事している自分の方が変なふうに思えてくる。 自分のやるべきことはこれでいいのだろうか。 これが生きるということなんだろうか。 いっそこの森で魚を釣り野菜を育て生きていけないだろうか。 星がきれいに見える。 なんて自分はちっぽけなんだろう。 寝転がって夜空を見上げていると、僕は逆に空へ落ちそうになる。 タイガーウッズがクスリで捕まったこ...

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『キャンプ~得たもの~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~得たもの~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~得たもの~』 「どうだ、楽しいだろ?」 友人に言われて「ん、まあ」としか答えなかった。 どうやら俺は都会に染まりきっていたようだ。何もかも手に入る環境で、何もかも手に入れようとして、全てを手に入れられなかった。そんなときに彼がキャンプに誘ってきたのだ。 俺は事前に予習をしておいた。キャンプでは「協調性」などが得られるらしい。これ以上まだ何かを得なければならないのかと思うと嫌気がさしていた。 当日は彼と一緒にテントを張り、魚釣りやバーベキューをした。といっても...

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『キャンプ~夏の夜~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~夏の夜~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~夏の夜~』  高校生の時に、恋をした男の子の話をしよう。  彼は、同い年だけど大人っぽくて。  しっかり者で、紳士的な人。  目が悪いらしくて、学校に許可を得てサングラスをしている。  チラリと見たことがあるけど、彼の目は左右で色が異なっていた。  最初は気持ち悪い、て思ったけど。でも、綺麗だったな、と思った。  全然見せてくれないし、何だか嫌そうだし。  嫌なことはしてはいけないって、母が話していたからな。  私は彼の目には、あまり突っ込んだりしないよ...

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『信号~抵抗~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~抵抗~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~抵抗~』 「締め切り、明日ですよね?」 「だが明日は最終チェックのための予備日なんだぞ」 「作業も、チェックも、両方まとめて一日でやれますって」 「こういうのは時間を空けるからミスに気づけたりするものなんだ」 「部長、俺、今日はどうしても大事なイベントがあるんすよ」 「そう言わずに...ほら、今度飲みに連れてってやるから」 「えーまじすか、残業代出るなら考えますけど」 「えっ、残業代?」 「あ、でも俺、やっぱり今日は連れに会わなきゃなんすよ」 「連れって…...

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『信号~点滅~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~点滅~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~点滅~』 「かーわーはーらーさーーーーーん」  俺は先輩の川原さんに声をかける。 「きーいーてーまーすーーーー?」 「煩いですよ、佐野さん」 「川原さんって、童貞かって訊いてるのに答えないんだもん」 「何で答えなきゃいけないの」 「えー、じゃあ。セッ*スした!?」 「答えません」 「あー! してないんだ! してないんですね!! ハッハッハッハッハッ」 「うるせえって、あんた!!」  川原さんが怒ったところで、信号が青になった。  俺は隣でイライラしてい...

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『信号~たまたま青かっただけ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~たまたま青かっただけ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~たまたま青かっただけ~』 彼らはたまたま信号が青かっただけだ。 赤信号につかまりやすい日もあれば、事故を起こす日もある。 事故を起こすにもいろいろあって、脇見運転など自分の過失の場合もあれば、 人を助けようとしたり、庇おうとして、自分が事故に巻き込まれることもある。 はたまた、どうしようもないこともある。 前方が事故で前に進めない時、他人の過失で被害を被る時、青信号では渡れない。 それでも前に進んだ人は、ただ後方で事故が起こったからか、他人に目を向けるこ...

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『運動会~スタート~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~スタート~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~スタート~』 そこはサッカー部が壁当てのために使う黒い壁で日陰になっている。僕はその壁の脇に穴を掘り、うつ伏せになり顔だけ出して運動会を見ている。 横には西田という不登校を繰り返す奴もいる。特に話すという訳でもなく、ただ二人で運動会というイベントを眺めている。 先日クラスで種目決めのホームルームがあったのだが、自分がなんの競技にあたったのかすら興味が無い。 僕が欠席したところで何の支障もなく、あいつどこで何をしてるんだと、気に留める人もいない。 4レーンが...

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