黒川洸太郎の小説 一覧

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『信号~たまたま青かっただけ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~たまたま青かっただけ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~たまたま青かっただけ~』 彼らはたまたま信号が青かっただけだ。 赤信号につかまりやすい日もあれば、事故を起こす日もある。 事故を起こすにもいろいろあって、脇見運転など自分の過失の場合もあれば、 人を助けようとしたり、庇おうとして、自分が事故に巻き込まれることもある。 はたまた、どうしようもないこともある。 前方が事故で前に進めない時、他人の過失で被害を被る時、青信号では渡れない。 それでも前に進んだ人は、ただ後方で事故が起こったからか、他人に目を向けるこ...

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『運動会~スタート~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~スタート~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~スタート~』 そこはサッカー部が壁当てのために使う黒い壁で日陰になっている。僕はその壁の脇に穴を掘り、うつ伏せになり顔だけ出して運動会を見ている。 横には西田という不登校を繰り返す奴もいる。特に話すという訳でもなく、ただ二人で運動会というイベントを眺めている。 先日クラスで種目決めのホームルームがあったのだが、自分がなんの競技にあたったのかすら興味が無い。 僕が欠席したところで何の支障もなく、あいつどこで何をしてるんだと、気に留める人もいない。 4レーンが...

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『食堂~片隅のものがたり~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト34

『食堂~片隅のものがたり~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト34

『食堂~片隅のものがたり~』 「そこは危険だ。底なし沼だぞ。」トレドが言う。 「こんな綺麗な黄金の沼があるかよ。大丈夫さ。いけるよ。」ピケルが澄み切った目でトレドを諭す。 「分かった。じゃあ行こう。」トレドが意を決した。 ジャブン 「な!なんだこれは。」トレドが驚嘆する。 黄金の沼の中には白い螺旋状の物が奥深くまで繋がっていた。 「大丈夫さ。引き上げてみよう。」ピケルがそう言うと、一気に引き上げた。 「なんなんだこれは?」トレドがそう言うと、ピケルは 「うど...

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『エスパー~無力~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト33

『エスパー~無力~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト33

『エスパー~無力~』 「次の駅で女子学生が2人、男性サラリーマンが1人乗ってくる。」僕がそう予言すると、 「何でそんなこと分かるの?」と10歳の息子が尋ねた。 「みんなには黙ってたけど父さんはエスパーなんだ。」と言うと、息子は半信半疑の顔で次の駅を待っていた。 次の駅に着くと派手な女子高生2人と、くたびれた男性サラリーマンが乗車してきた。 「お父さん凄い。なんで分かったの?」息子は静かに驚いている。 「言ったじゃないか。お父さんはエスパーなんだ。」僕はしてやったりの顔...

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『森〜秘密基地〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト32

『森〜秘密基地〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト32

『森〜秘密基地〜』 「なぁシンバル欲しないか?」僕が粟井にそういうと、 「欲しいな。」と即答した。 放課後、クレセントを少し緩めておいた音楽室の小窓を、トントントンと適度な強さで叩くと、カチャッとクレセントが開いた。 それは僕と粟井がいつも悪さをするときの必殺技だった。 少し回りを確認してから一気に教室へ忍び込む。窓を閉めることを忘れない。 音楽室からシンバルを盗むことなんて僕らにとっては造作のないことだった。 シンバルのセットを丸丸盗もうとする粟井に対し、僕は「片...

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『床屋〜主人公と脇役の世界〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜主人公と脇役の世界〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜主人公と脇役の世界〜』 『誰もが自分が主人公だと思っているのは当たり前のことで、脇役に撤している人生でもそれが自分目線のドキュメンタリー映画である。』 そんな哲学めいたことを考えながら、大きな鏡越しに見る自分の顔はなんだか能面で、あぁなんで主人公がこんな不細工な顔してるんだろうなぁと嫌になる。 何をやっても似合わないこの髪の毛も設定としてはおかしい。正解に導くのが美容師であり、主人公の髪の毛がダサいなんて見たことも聞いたことも無い。 前髪を切ってもらうタイミン...

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『ノート〜気が進まない〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜気が進まない〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜気が進まない〜』 息子からエンディングノートを貰った。 便利な時代になったものだ。 銀行の暗証番号や判子の在処。家系図から、自分の意識が無くなった場合などなど。 このノートのフォーマット通りに記入すれば、死後残された者たちは困らないらしい。 「お父さんもこうゆうことを考える歳なんかなと思って。」 と70歳の誕生日プレゼントとして渡す息子は何を思っていたのだろうか。 少なからず私とは目を合わせていなかったように思える。 息子は私の死後をもう見据えている...

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『ゴミ箱〜転職〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト29

『ゴミ箱〜転職〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト29

『ゴミ箱〜転職〜』 まるで今までのことが無かったかのように過ごす。 経験やスキルも新たな環境ではゴミ屑も同然である。 結局は慣れの問題で、それもこれもあれも人間関係で成り立っている。 社会においてミュニケーション能力が重要視されてるのはこうゆう点なのだと気づく。 自分より馬鹿で仕事が出来なさそうな奴でも、先輩とクラブではしゃげるノリさえあれば何故か評価が高くなったりする。 馬鹿まじめに参考書片手に仕事している僕なんかは、この転職先の会社にとって空気も同然。ゴミ箱にも入...

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『電池~ザッピングの日常~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~ザッピングの日常~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~ザッピングの日常~』 「なぁ母さん今日の晩飯なんだ?」 と訊きながら、お父さんはリモコンでザッピングをする。 リモコンの調子が先週から悪く、お父さんは何回もソファにたたきつけている。 早く電池を換えれば直るはずなのに、誰かがやるだろうと思って、誰もやらない。 「ところで明(あきら)は受験勉強どうだ?はかどってるか?」お父さんが訊く。 「国語と英語は良い線行くと思う。」僕は応える。 今の返事の仕方は中学受験の面接だと何点だっただろうか。そんなことをふと思ったり...

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『初雪~ノンフィクション~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪~ノンフィクション~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪~ノンフィクション~』 初雪が降ると、真っ赤な血を思い出す。 白が赤に染まっていく光景を今でもフラッシュバックする。 僕の地域では雪が降ることはたまにあっても、積もるなんてことは殆ど無い。 その日の朝、家を出ると夢を見ているかのような白銀の世界が僕の目の前に広がっていた。僕は知らなかったが、夜に初雪が降っていたらしい。 集団登校で集まるとみんなが各々に雪だんごを作り、即席雪合戦が始まる。 学校へ行くと校門にはさらにテンションが上がる張り紙がしてあった。 『...

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