黒川洸太郎の小説 一覧

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『電池~ザッピングの日常~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~ザッピングの日常~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~ザッピングの日常~』 「なぁ母さん今日の晩飯なんだ?」 と訊きながら、お父さんはリモコンでザッピングをする。 リモコンの調子が先週から悪く、お父さんは何回もソファにたたきつけている。 早く電池を換えれば直るはずなのに、誰かがやるだろうと思って、誰もやらない。 「ところで明(あきら)は受験勉強どうだ?はかどってるか?」お父さんが訊く。 「国語と英語は良い線行くと思う。」僕は応える。 今の返事の仕方は中学受験の面接だと何点だっただろうか。そんなことをふと思ったり...

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『初雪~ノンフィクション~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪~ノンフィクション~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪~ノンフィクション~』 初雪が降ると、真っ赤な血を思い出す。 白が赤に染まっていく光景を今でもフラッシュバックする。 僕の地域では雪が降ることはたまにあっても、積もるなんてことは殆ど無い。 その日の朝、家を出ると夢を見ているかのような白銀の世界が僕の目の前に広がっていた。僕は知らなかったが、夜に初雪が降っていたらしい。 集団登校で集まるとみんなが各々に雪だんごを作り、即席雪合戦が始まる。 学校へ行くと校門にはさらにテンションが上がる張り紙がしてあった。 『...

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『カップ麺~お茶を飲みたい~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺~お茶を飲みたい~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺~お茶を飲みたい~』 寝れない。 何があったという訳でもない。そのまま朝の2時を迎える。 このまま映画のDVDでも観て徹夜するのも良いのだが、いかんせん明日も朝からバイトが入っている。 死んだような日々を過ごしているから寝れないのだろう。 焦燥感というやつだ。 何かしなければいけない。行動に移さなくてはいけない。そんなことは分かっている。 親や友達にも会えば説教されるので、あまり部屋から出たくない。 隣町のやよい軒で朝から晩まで定食を作って、保険も年金も...

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『サンタクロース~流体と個体~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~流体と個体~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~流体と個体~』 クリスマスで街が大渋滞の中、僕だけが流体だった。 SR400が放つ単気筒の音が、乾いた空気に良く響く。 止まっている車は即ち固体であり、それをすり抜けていく僕だけが生を帯びてる様だ。 「あいつ岡田先輩と付き合おうと思ってるらしいで。」 友人の言葉が僕のトリガーを引いた。居てもたってもいられず電話をかけた。 「今から話したいことが有るんだけど。クリスマスなのに忙しいかな?」言葉が浮ついていた。 「親とパーティーするだけだから大丈夫だよ...

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『タータンチェック〜たーたんのチェック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック〜たーたんのチェック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック〜たーたんのチェック〜』 「ドンキーコング」 タカシの答えは一択だった。俺の明日の予定がジャスコのゲーム売場と決まる。 「お姉ちゃんはサンタさんに何をお願いするの?」と嫁が尋ねるとシルバニアファミリーと応えている。ジャスコにあるだろうか。もしなければ、そこから隣町のトイザらスに行かなくてはならない。 「どーやってサンタさんに伝えるの?」タカシが聴くと、嫁は「じゃあ紙に書いて靴下に入れておこうか。」と提案する。タカシは素直に従っていた。 日曜日、ジャスコ...

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『アンパンマン〜天使と悪魔〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン〜天使と悪魔〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン〜天使と悪魔〜』 「なぁアンよ。ドキンの事どう思う?」 「どうも思わんよ。あんなもん」 そんなたわいもない話を食パンマンとしていた。時々やってきてはパン工場の屋根の上で話したりするのだが、今日の食パンマンは雰囲気が違った。 「俺らの存在意味ってなんなんだろうな?」食パンマンが意を決したかのように話した。 「急になんやねん。そらこの街の治安維持やろうが。」強気で言うと説得力が出ると思った。 「じゃあバイキンが居なくなったら、どうなるの?」本質はここだろう。...

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『奇跡~なんとなくの重なり~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト22

『奇跡~なんとなくの重なり~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト22

『奇跡~なんとなくの重なり』 疲れていて一瞬迷ったが、『やらない後悔』をしたくなかった。彼女の落とした定期入れは電車とホームの間に落ちそうになり、ギリギリのところで電車側に滑り込んだ。彼女は気付かず歩いていき、僕は扉が閉まる数秒逡巡する。 今日、渡辺が会社を辞めた。悩んでるのを知っていながら僕は結局声をかけなかった。タラレバになるが僕があの時手を差し伸べればアイツは辞めずに済んだだろう。アイツが息子の誕生を僕に自慢してきた10年前の出来事がフラッシュバックしてきた。 定...

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『鎖骨~バックスリーダーの俺~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト21

『鎖骨~バックスリーダーの俺~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト21

『鎖骨~バックスリーダーの俺~』 南中のガリガリのウイングにボールが渡ると、一気にスピードがあがった。 大きくサイドに膨らみ、スピード勝負に持ち込まれる。 「追い込め!追い込め!」スタンドオフの俺はウイングに指示をする。 こちらのウイングも足は速く、負けていない。 上手くスペースを消しながら追い込むと、相手はステップを踏み内に切り返してきた。 「センターカバーしろ!」 キレのある切り返しに完全に逆をつかれ、ウイングは振り切られるが、そのスペースをセンターが埋めた。 ...

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『地下鉄〜いたって普通の日常〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト20

『地下鉄〜いたって普通の日常〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト20

『地下鉄〜いたって普通の日常〜』 多くの頭がうじょうじょ。 全員がなんの疑問も持たず着ているヨレヨレの黒のスーツ。 能面のようにうつるおっさんたちの顔。 『こんな社会の一部にはなりたくないなぁ。』 大学時代に考えていたことをふと思い出した。 地下鉄の車窓にはヨレヨレの顔がはっきりと見える。 陽の当たらない場所にぴったりの設定だ。 まるで『お前これで良いのかよ』と自分が自分に投げかけてくるみたいだ。 「、、れ、、と、、、、、たよ。」 突然背中をトントンと...

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『毒〜なんとなく毒なんだな〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト19

『毒〜なんとなく毒なんだな〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト19

『毒〜なんとなく毒なんだな〜』 彼は自分が作った料理に満足している。 私の誕生日を祝ってる訳では無い。惚れてる女に紳士ぶる自分に酔っているだけだ。別に私じゃなくても良い。 先月偶然街で見かけたあの大人しそうな女でもいい。結局この男は誰でも良いのだ。 「ねぇ。このワイン飲もうよ。」私は袋から出したワインを彼に渡した。 彼はワインのラベルをあたかも詳しいかのように見て放った言葉は「良い色だね。」 何を言ってるんだか。 「私の産まれたころのボトルなの。思わず買ってきちゃっ...

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