黒川洸太郎の小説 一覧

『月~キムチ鍋~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト44

『月~キムチ鍋~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト44

『月~キムチ鍋~』 勤務先と家を行き帰りをするだけの日々がとても退屈でいつも死にたいと思っていた。 なにかしらの変化をつけなければ自分がおかしくなりそうで、晩飯だけでも変化をつけようと思った。 少し遠めのスーパーへ歩き、何を食べようか考えた。 一人用のキムチ鍋が目についた。小さい頃大好きだったキムチ鍋。今日はこれにしてみようか。 帰り道ふと夜空を見上げると、とても月が奇麗だった。ずっと見ていると吸い込まれそうな夜空に見とれながらとことこと家路を歩く。 キムチ鍋を袋から...

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『メモ帳~かっこいい仕草~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト43

『メモ帳~かっこいい仕草~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト43

『メモ帳~かっこいい仕草~』 辻先輩に仕事を教えていただいて大体1年が経った。 とは言っても、この人から学んだ事は接待の時にカラオケでヘドバンする方法ぐらいだった。 それぐらいに適当に僕をあしらい、見て覚えればそれで良いじゃんと、自分でも言っていた。 僕の方がエクセルやパワポは使いこなしているし、上司からの評価も良い。 あいつはあんな奴だから、お前がフォローするんだぞと言われる始末だ。 まぁ早くあんな先輩は放っといて、早く出世でもしようなんて思っていた。 ただ辻...

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『河童~具体的な何か~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト42

『河童~具体的な何か~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト42

あの子がこの池で亡くなってからもう10年が経つ。 それからは、誰かが水面に人影を見ただの適当なことを言って、噂になったりしていた。 「なぁ。」 「・・・?」 「なぁて!」 誰に話しかけられたのか分からず、きょろきょろしていると突然顔に冷たいものがかかった。 「つめた!」と思わず口から出るも、どこから飛んできたのかも分からない。 「ここやて。ここ。池んとこやんか。」 「ヒっ!」僕は恐怖のあまり声が上づってしまった。 そこには河童の格好をした親父が池に立っていた。 ...

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『プール~勉強する意味~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト41

『プール~勉強する意味~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト41

『プール~勉強する意味~』 どこからかプールの匂いがして、なにか遠い昔の記憶が横切った。 あれはいつだったかな。誰かが何かを言ってたな。大事な事だった気がする。 ドン!助手席で息子が塾で配布された英単語帳を放り投げた。 「こんなもん意味ねぇよ。」 これが最近の息子の口癖だ。 なにもかもが面倒くさい年頃なんだろう。俺にもそういえばあった。 とにかく何をするのもイライラしてて、それに対して自分でもダメだと気付いているから、誰かにやいのやいの言われるのが嫌で。 日々...

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『犬~特別~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~特別~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~特別~』 【俺は犬だ。なぜか、耳と尻尾がある。 人間からしたら、俺のこの秘密はキショイんだろうなぁ。】 耳をセロテープでとめて、バレないように髪の毛を長めにしている。尻尾は常にケツに挟んでる。 ウンコするときは大変で、いちいち気を遣う。あと大勢で着替えなあかんときも大変。 俺のパンツを履くスピードは世界一やと思う。将来いつかセックスするときはどうしようか? シリコン製のケツのパッドを作ってもらって、それを装着しようか。世間広いねんから一人ぐらい ケツに割れ目な...

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『映画~断定的な幸せ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~断定的な幸せ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~断定的な幸せ~』 「おい吾朗!いくぞ!」 「どこに?」 「シネマに決まってるやないか。3分で用意せい。シンネンマーや。」 父は思い立ったらすぐ行動の人だ。僕がズボンを履いて携帯と財布をポケットに入れている間に、父はもう玄関先に車を回していた。 「映画なんじからなん?」僕は父に訊くと 「いや、知らん」と応える。父らしいなとくすっと笑い、 「じゃあなんの映画を観るん?」と訊くと 「なんかCMでやっとったんや。『死ぬ前にする人生のやりたいこと』やったかなんやったか。...

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『望遠鏡~知識の伝達~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~知識の伝達~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~知識の伝達~』 祖父が死んで半年が経った。 言葉が出ないくらいに泣いていた僕も、今や大学の仲間たちと岩手にツーリング旅行をしている。 家が狭いせいで祖父と寝室が一緒だった僕は特に祖父のお気に入りで、いろいろと世話をかけてもらった。 高校の頃に自分の部屋を持ちたいと言った時の祖父の悲しそうな顔が忘れられなくて、寝るときだけは祖父の横に布団を敷いてしばらくは寝ていた。でも、いつからかそれも面倒で自分のソファベッドで寝るようになったっけ。 奥入瀬渓流の近くにバイ...

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『キャンプ~タイガーウッズ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~タイガーウッズ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~タイガーウッズ~』 森の木々に囲まれると自分が何者であるか分からなくなる。 都会のビルで日々のしがらみのなか仕事している自分の方が変なふうに思えてくる。 自分のやるべきことはこれでいいのだろうか。 これが生きるということなんだろうか。 いっそこの森で魚を釣り野菜を育て生きていけないだろうか。 星がきれいに見える。 なんて自分はちっぽけなんだろう。 寝転がって夜空を見上げていると、僕は逆に空へ落ちそうになる。 タイガーウッズがクスリで捕まったこ...

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『信号~たまたま青かっただけ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~たまたま青かっただけ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~たまたま青かっただけ~』 彼らはたまたま信号が青かっただけだ。 赤信号につかまりやすい日もあれば、事故を起こす日もある。 事故を起こすにもいろいろあって、脇見運転など自分の過失の場合もあれば、 人を助けようとしたり、庇おうとして、自分が事故に巻き込まれることもある。 はたまた、どうしようもないこともある。 前方が事故で前に進めない時、他人の過失で被害を被る時、青信号では渡れない。 それでも前に進んだ人は、ただ後方で事故が起こったからか、他人に目を向けるこ...

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『運動会~スタート~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~スタート~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~スタート~』 そこはサッカー部が壁当てのために使う黒い壁で日陰になっている。僕はその壁の脇に穴を掘り、うつ伏せになり顔だけ出して運動会を見ている。 横には西田という不登校を繰り返す奴もいる。特に話すという訳でもなく、ただ二人で運動会というイベントを眺めている。 先日クラスで種目決めのホームルームがあったのだが、自分がなんの競技にあたったのかすら興味が無い。 僕が欠席したところで何の支障もなく、あいつどこで何をしてるんだと、気に留める人もいない。 4レーンが...

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