黒川洸太郎の小説 一覧

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『森〜秘密基地〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト32

『森〜秘密基地〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト32

『森〜秘密基地〜』 「なぁシンバル欲しないか?」僕が粟井にそういうと、 「欲しいな。」と即答した。 放課後、クレセントを少し緩めておいた音楽室の小窓を、トントントンと適度な強さで叩くと、カチャッとクレセントが開いた。 それは僕と粟井がいつも悪さをするときの必殺技だった。 少し回りを確認してから一気に教室へ忍び込む。窓を閉めることを忘れない。 音楽室からシンバルを盗むことなんて僕らにとっては造作のないことだった。 シンバルのセットを丸丸盗もうとする粟井に対し、僕は「片...

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『床屋〜主人公と脇役の世界〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜主人公と脇役の世界〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜主人公と脇役の世界〜』 『誰もが自分が主人公だと思っているのは当たり前のことで、脇役に撤している人生でもそれが自分目線のドキュメンタリー映画である。』 そんな哲学めいたことを考えながら、大きな鏡越しに見る自分の顔はなんだか能面で、あぁなんで主人公がこんな不細工な顔してるんだろうなぁと嫌になる。 何をやっても似合わないこの髪の毛も設定としてはおかしい。正解に導くのが美容師であり、主人公の髪の毛がダサいなんて見たことも聞いたことも無い。 前髪を切ってもらうタイミン...

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『ノート〜気が進まない〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜気が進まない〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜気が進まない〜』 息子からエンディングノートを貰った。 便利な時代になったものだ。 銀行の暗証番号や判子の在処。家系図から、自分の意識が無くなった場合などなど。 このノートのフォーマット通りに記入すれば、死後残された者たちは困らないらしい。 「お父さんもこうゆうことを考える歳なんかなと思って。」 と70歳の誕生日プレゼントとして渡す息子は何を思っていたのだろうか。 少なからず私とは目を合わせていなかったように思える。 息子は私の死後をもう見据えている...

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『ゴミ箱〜転職〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト29

『ゴミ箱〜転職〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト29

『ゴミ箱〜転職〜』 まるで今までのことが無かったかのように過ごす。 経験やスキルも新たな環境ではゴミ屑も同然である。 結局は慣れの問題で、それもこれもあれも人間関係で成り立っている。 社会においてミュニケーション能力が重要視されてるのはこうゆう点なのだと気づく。 自分より馬鹿で仕事が出来なさそうな奴でも、先輩とクラブではしゃげるノリさえあれば何故か評価が高くなったりする。 馬鹿まじめに参考書片手に仕事している僕なんかは、この転職先の会社にとって空気も同然。ゴミ箱にも入...

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『電池~ザッピングの日常~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~ザッピングの日常~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~ザッピングの日常~』 「なぁ母さん今日の晩飯なんだ?」 と訊きながら、お父さんはリモコンでザッピングをする。 リモコンの調子が先週から悪く、お父さんは何回もソファにたたきつけている。 早く電池を換えれば直るはずなのに、誰かがやるだろうと思って、誰もやらない。 「ところで明(あきら)は受験勉強どうだ?はかどってるか?」お父さんが訊く。 「国語と英語は良い線行くと思う。」僕は応える。 今の返事の仕方は中学受験の面接だと何点だっただろうか。そんなことをふと思ったり...

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『初雪~ノンフィクション~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪~ノンフィクション~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪~ノンフィクション~』 初雪が降ると、真っ赤な血を思い出す。 白が赤に染まっていく光景を今でもフラッシュバックする。 僕の地域では雪が降ることはたまにあっても、積もるなんてことは殆ど無い。 その日の朝、家を出ると夢を見ているかのような白銀の世界が僕の目の前に広がっていた。僕は知らなかったが、夜に初雪が降っていたらしい。 集団登校で集まるとみんなが各々に雪だんごを作り、即席雪合戦が始まる。 学校へ行くと校門にはさらにテンションが上がる張り紙がしてあった。 『...

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『カップ麺~お茶を飲みたい~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺~お茶を飲みたい~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺~お茶を飲みたい~』 寝れない。 何があったという訳でもない。そのまま朝の2時を迎える。 このまま映画のDVDでも観て徹夜するのも良いのだが、いかんせん明日も朝からバイトが入っている。 死んだような日々を過ごしているから寝れないのだろう。 焦燥感というやつだ。 何かしなければいけない。行動に移さなくてはいけない。そんなことは分かっている。 親や友達にも会えば説教されるので、あまり部屋から出たくない。 隣町のやよい軒で朝から晩まで定食を作って、保険も年金も...

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『サンタクロース~流体と個体~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~流体と個体~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~流体と個体~』 クリスマスで街が大渋滞の中、僕だけが流体だった。 SR400が放つ単気筒の音が、乾いた空気に良く響く。 止まっている車は即ち固体であり、それをすり抜けていく僕だけが生を帯びてる様だ。 「あいつ岡田先輩と付き合おうと思ってるらしいで。」 友人の言葉が僕のトリガーを引いた。居てもたってもいられず電話をかけた。 「今から話したいことが有るんだけど。クリスマスなのに忙しいかな?」言葉が浮ついていた。 「親とパーティーするだけだから大丈夫だよ...

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『タータンチェック〜たーたんのチェック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック〜たーたんのチェック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック〜たーたんのチェック〜』 「ドンキーコング」 タカシの答えは一択だった。俺の明日の予定がジャスコのゲーム売場と決まる。 「お姉ちゃんはサンタさんに何をお願いするの?」と嫁が尋ねるとシルバニアファミリーと応えている。ジャスコにあるだろうか。もしなければ、そこから隣町のトイザらスに行かなくてはならない。 「どーやってサンタさんに伝えるの?」タカシが聴くと、嫁は「じゃあ紙に書いて靴下に入れておこうか。」と提案する。タカシは素直に従っていた。 日曜日、ジャスコ...

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『アンパンマン〜天使と悪魔〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン〜天使と悪魔〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン〜天使と悪魔〜』 「なぁアンよ。ドキンの事どう思う?」 「どうも思わんよ。あんなもん」 そんなたわいもない話を食パンマンとしていた。時々やってきてはパン工場の屋根の上で話したりするのだが、今日の食パンマンは雰囲気が違った。 「俺らの存在意味ってなんなんだろうな?」食パンマンが意を決したかのように話した。 「急になんやねん。そらこの街の治安維持やろうが。」強気で言うと説得力が出ると思った。 「じゃあバイキンが居なくなったら、どうなるの?」本質はここだろう。...

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