緑川凛太郎の小説 一覧

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『ジャンクション~岐路~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~岐路~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~岐路~』  高校を卒業して、ほんの少し経った時。  私は親から卒業祝として、中古車を買ってもらった。  トラックが良かったけれど、まだ大型の免許を取っていなかったから、取ったら買うことにした。  中古車に乗り、母校である藁谷町(わらやのまち)第二高等学校に向かい、恩師である佐野(さの)先生に会いに行った。  駐車場に止め、いざ行こうとすると前から佐野先生が歩いてきた。 「佐野先生っ」  私が声をかけると、先生はニコッと笑い「おう」と言う。 「どうした...

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『時間~廻り巡る~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~廻り巡る~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~廻り巡る~』  我らが藁谷町(わらやのまち)市は、とても穏やかな町である。  駅は昔ながらというか、他のところではあまり見ない木造駅舎。  ICカードというものは使えない。  電車を使うなら、駅員から切手を直接貰う。  僕の仕事は、それだ。  長いこと、この町の駅員を務めている。 「どれくらいの時が経ったのだろうか」  部屋を出て、ホームのベンチに腰を下ろす。  この町の人たちは、何だかんだで自分に優しい。  一日に一回は必ず顔を出してくれるし、話もしてく...

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『月~月見ウタ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト44

『月~月見ウタ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト44

『月~月見ウタ~』 今宵は十五夜。  俺ら百鬼出版社社員一同は、社長が住むマンションの屋上で月見をすることにした。 「神呪(かみの)さん! お酌!」  今年の五月に二十歳を迎えたばかりの柳楽(なぎら)くんが、慣れない手つきで俺が持つお猪口に酒を注ぐ。 「神呪さん、日本酒って美味しい?」 「あー、まあまあかな。俺は普段、チューハイばかり飲んでるし」 「チューハイ?」 「うめぇぞ、チューハイ。良い感じに酔える」  俺はニィッと笑い、社長を指す。 「気になるなら、兄に訊...

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『メモ帳~黒髪メモ帳~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト43

『メモ帳~黒髪メモ帳~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト43

『メモ帳~黒髪メモ帳~』  利一(りいち)は、よくメモを取る。  理由はたった一つ、忘れないためだと言う。  僕は利一とはずっと一緒にいるし、利一が忘れてしまっても、僕が覚えているから問題ないように思える。でも、利一は嫌だと言う。  綺麗なショートヘアーの金髪、少しつり目で、アイラインを引いたような金眼をキラキラと太陽に輝かせて、風に靡かせて利一は優しく僕に言う。 「英忠(ひでただ)のことも、僕は忘れてしまうから」  普段の利一なら、きっと言わないことをこの時の利一は言っ...

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『河童~君に付き合う日~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト42

『河童~君に付き合う日~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト42

『河童~君に付き合う日~』  今日は、俺が川原さんに付き合う日。  そうなったのも、一週間前のこと。 ∬  水泳の授業で、俺が川原さんに「え、おっぱいないの? 川原さん、女の子でしょ~?」とふざけて言ったら、周りにいた生徒たちが「兄貴、さすがにそれは酷い」とか「これは川原先生に土下座とかしないと…」とか「切腹しないと」と言われたのだ。ヤバイな、と思い川原さんを見ると、彼は泣きそうな顔をして「良いよ」と言った。そして、その日の放課後に体育館裏に呼び出されて、殺されるな、...

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『プール~水泳~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト41

『プール~水泳~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト41

『プール~水泳~』  昨日、プール開きの集会があった。  そして、今日からプール――そう、水泳の授業が始まる。  俺の学校は、教員が少ないから、学年の教員がプールの監視をしたりするらしい。  この説明を受け、俺はとても楽しみで仕方がなかった。  二限、俺のクラスは体育で。  つまり、水泳で。  俺は隣にいる川原さんに「あの」と声をかける。 「俺は女子更衣室を監視しているんで、川原さんはどうぞ野郎を見ていてくだせぃ」 「何を言っているんだ、馬鹿」  川原さんは回...

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『犬~ペット~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~ペット~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~ペット~』 いつものように、首輪をして。  リードも忘れないように。 「さ、行こうか」  僕が微笑むと、彼は嬉しそうに頷いた。  近くの空き地に着いたら、リードを放す。  そして、持っているボールを投げる。  彼はそれを追いかけて、持って帰る。 「良い子だね」  頭を撫でて、もう一度。  今度は、先ほどよりも速く持ってきた。  そうやって、しばらく遊んだあと。  僕は彼を呼び、リードを持つ。 「ご飯をかって帰ろうか」  僕の言葉に、彼は目を輝かせ...

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『映画~メモリー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~メモリー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~メモリー~』 「紀治(としはる)、見てみろ。この大画面に、たっっくさん夢が映る。静かに、黙って見てろよ」  父さんは僕に言う。 「感動を口に出すのは、家でやるものだ。外で言ったら、他の人が困ってしまうからね」 「そうなの?」 「ああ、紀治の好きなアニメの最新話を、急に言われたら吃驚しちゃうし。嫌だろ?」 「うん」 「それと一緒さ。ずっと待っていた人だっているんだ。だから、静かにしておこうな」 「うんっ」  僕は頷き、目の前の大画面を見る。  左には父さん。...

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『望遠鏡~満天の星~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~満天の星~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~満天の星~』 「引馬(ひくま)さんの家ってさ。望遠鏡あるよね」  神呪(かみの)さんがポツリと言った。  俺は驚いて、彼を見る。 「え、は?」 「いやいや、あるじゃないですか。実家の方に」 「あるけどさ、何で知ってるの」 「見たことがあるから?」 「……君、不法侵入だよね。それ」 「何を仰るか、平沢(ひらさわ)先生に許可得たわ」 「あの野郎……」  平沢先生とは、俺の従兄弟である。  双子レベルで、俺らは似てるし。生年月日と血液型が同じ。  生まれ...

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『キャンプ~夏の夜~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~夏の夜~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~夏の夜~』  高校生の時に、恋をした男の子の話をしよう。  彼は、同い年だけど大人っぽくて。  しっかり者で、紳士的な人。  目が悪いらしくて、学校に許可を得てサングラスをしている。  チラリと見たことがあるけど、彼の目は左右で色が異なっていた。  最初は気持ち悪い、て思ったけど。でも、綺麗だったな、と思った。  全然見せてくれないし、何だか嫌そうだし。  嫌なことはしてはいけないって、母が話していたからな。  私は彼の目には、あまり突っ込んだりしないよ...

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