緑川凛太郎の小説 一覧

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『犬~ペット~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~ペット~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~ペット~』 いつものように、首輪をして。  リードも忘れないように。 「さ、行こうか」  僕が微笑むと、彼は嬉しそうに頷いた。  近くの空き地に着いたら、リードを放す。  そして、持っているボールを投げる。  彼はそれを追いかけて、持って帰る。 「良い子だね」  頭を撫でて、もう一度。  今度は、先ほどよりも速く持ってきた。  そうやって、しばらく遊んだあと。  僕は彼を呼び、リードを持つ。 「ご飯をかって帰ろうか」  僕の言葉に、彼は目を輝かせ...

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『映画~メモリー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~メモリー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~メモリー~』 「紀治(としはる)、見てみろ。この大画面に、たっっくさん夢が映る。静かに、黙って見てろよ」  父さんは僕に言う。 「感動を口に出すのは、家でやるものだ。外で言ったら、他の人が困ってしまうからね」 「そうなの?」 「ああ、紀治の好きなアニメの最新話を、急に言われたら吃驚しちゃうし。嫌だろ?」 「うん」 「それと一緒さ。ずっと待っていた人だっているんだ。だから、静かにしておこうな」 「うんっ」  僕は頷き、目の前の大画面を見る。  左には父さん。...

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『望遠鏡~満天の星~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~満天の星~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~満天の星~』 「引馬(ひくま)さんの家ってさ。望遠鏡あるよね」  神呪(かみの)さんがポツリと言った。  俺は驚いて、彼を見る。 「え、は?」 「いやいや、あるじゃないですか。実家の方に」 「あるけどさ、何で知ってるの」 「見たことがあるから?」 「……君、不法侵入だよね。それ」 「何を仰るか、平沢(ひらさわ)先生に許可得たわ」 「あの野郎……」  平沢先生とは、俺の従兄弟である。  双子レベルで、俺らは似てるし。生年月日と血液型が同じ。  生まれ...

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『キャンプ~夏の夜~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~夏の夜~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト37

『キャンプ~夏の夜~』  高校生の時に、恋をした男の子の話をしよう。  彼は、同い年だけど大人っぽくて。  しっかり者で、紳士的な人。  目が悪いらしくて、学校に許可を得てサングラスをしている。  チラリと見たことがあるけど、彼の目は左右で色が異なっていた。  最初は気持ち悪い、て思ったけど。でも、綺麗だったな、と思った。  全然見せてくれないし、何だか嫌そうだし。  嫌なことはしてはいけないって、母が話していたからな。  私は彼の目には、あまり突っ込んだりしないよ...

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『信号~点滅~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~点滅~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~点滅~』 「かーわーはーらーさーーーーーん」  俺は先輩の川原さんに声をかける。 「きーいーてーまーすーーーー?」 「煩いですよ、佐野さん」 「川原さんって、童貞かって訊いてるのに答えないんだもん」 「何で答えなきゃいけないの」 「えー、じゃあ。セッ*スした!?」 「答えません」 「あー! してないんだ! してないんですね!! ハッハッハッハッハッ」 「うるせえって、あんた!!」  川原さんが怒ったところで、信号が青になった。  俺は隣でイライラしてい...

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『運動会~社内運動会(笑)~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~社内運動会(笑)~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~社内運動会(笑)~』  俺の友人である左坤(さこん)くんは、足が速い。  いや、俺が遅いだけかもしれないけど。  彼は、いつも動きがゆっくりで、足も遅そうなのに。  走るとなると、ものすごく速い。  先日、俺の会社の社長が突如「運動会しよう」て言い、俺は全力で嫌がったが。やることになった。  あれは酷いものだった。  大体平均年齢が三十という野郎の集団が、運動会って可笑しいだろ。  なぜ、誰も突っ込みをしない。  と、思っている間に運動会は始まった。 ...

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『食堂~Aランチ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト34

『食堂~Aランチ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト34

『食堂~Aランチ~』  最悪! 弁当を忘れた!  俺は頭を抱え、所持金を確認する。  持っているのは、三千円。  帰りに趣味で集めている漫画の新刊と、小説の新刊を買うために持ってきた。 ――漫画は予約しているから、明日で良いだろう。  だが、問題は小説。  なかなか続刊が出ず、俺はかなり待っていた。 「小説は、通常と限定。会わして、二千五百円。だから、五百円以内の物を買おう」  俺はそう言って、初めて学食に行った。 ∬  この学校に学...

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『エスパー~マジックパワー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト33

『エスパー~マジックパワー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト33

『エスパー~マジックパワー~』 引馬(ひくま)さんはすごい人だ。  精神科医というだけで、まずすごいのだが。  それだけではなく、学生時代はプロレスをしていたし。  少し前まで、芸能界にいた。  他人に優しくて、自分には厳しい。  泣いている子供がいたら、涙を拭いて。  どこからともなく、あめ玉を出してあげる。 「引馬さんって、本当はなんの人なの?」  僕は気になって、引馬さんに訊く。 「何も話したりしていないのに、僕の気持ちとかわかるし」 「ん...

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『森~秘密の友達~』緑川凛太郎郎-ショート小説コンテスト32

『森~秘密の友達~』緑川凛太郎郎-ショート小説コンテスト32

『森~秘密の友達~』 「母様、それでは行ってきますね!」  息子の文人(あやと)は、妻にそう言って俺の手を引く。 「父様! 早く行かないと、みんな、どこかに行ってしまいます!!」 「はいはい」  文人に引かれて、俺は家の裏にある森の方へ歩いて行った。  俺の住む町は、田舎である。  海と山と森がある。  山と森は、似たようなものだがな。  まあ、そんなことは置いておいてだ。  文人は、俺と妻の間のたった一人の子どもだ。  髪はサラサラして...

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『床屋〜截断〜』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜截断〜』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜截断〜』  髪は女の命と云う。  私は男だから、それはよく知らないけれど、女であるシャルがそう言うのできっとそうなのだろう。  なら、女は髪を切ったら死ぬのか、と訊いたらシャルは不思議そうに私を見る。 「何を言っているじゃん? 心臓とか止まったら、死ぬに決まっているじゃん。髪を切ったくらいで死にはしないじゃん?」 「そうですね。変なことを聞いてしまいました」  ところで、と私はシャルの髪を指で鋤きながら言う。 「おチビちゃん、そろそろ髪を切ります...

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