白川湊太郎の小説 一覧

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『暖炉~見やすさ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~見やすさ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~見やすさ~』 暖炉のある部屋で最も座りたい場所はどこか。 おそらく多くの人間は暖かい場所を選ぶだろう。 一般的にも一番暖を取りやすい場所が上座になるらしい。 だが、私はそこを選ばない。 私は炎を見やすい場所に座りたい。 暖を取りやすい場所と炎を見やすい場所は似ているようで違う。 暖を取るだけであればできるだけ近づけば良いのだ。 実際に暖炉のすぐ傍ではペットの犬が寝そべっている。 犬は目を瞑っている。元はどこかで保護されたのだが、今では私の家で上品に振る舞って...

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『ハゲ~おまじない~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト49

『ハゲ~おまじない~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト49

『ハゲ~おまじない~』 あの子のことをずっと見ていた。 同じクラスの安原さん。腰まで伸びた黒くて綺麗な彼女の髪は、今みたいな夏の日でも暑苦しく感じない。 彼女はよく自分の髪の毛を触っている。あんなに綺麗な髪をしていたら触りたくなる気持ちもわかる。 私も彼女の髪の毛を触ってみたい、それができなくてもどうにかして仲良くなりたいと思っていた。 小さい頃にお姉ちゃんから教えてもらったおまじないがあった。 「画用紙に気になる人の髪を三本入れて飛ばすと、その人との距離が縮まる」という...

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『ショベルカー~ここ掘れワンワン~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト48

『ショベルカー~ここ掘れワンワン~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト48

『ショベルカー~ここ掘れワンワン~』 あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。 二人は川で溺れていた子犬を助けてやり、家で飼うことにしました。 あるとき子犬は畑の土を掘りながら「ここ掘れワンワン」と鳴き始めました。 おじいさんが鍬(くわ)で畑を掘ったところ、たくさんのお金が掘り出されました。 驚きながらも二人は喜んで、そのお金で幸せに暮らしました。 それから数年が経ち、子犬は老犬となり、おじいさんもさらにおじいさんになっていました。 「あのとき僕...

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『くじら~貢献~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~貢献~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~貢献~』 男の人と食事に来ていた。 「くじらって美味しいんだね」 「そうだね」 「君のことが好きだ、愛している」 「…ありがとう」 「どうして応えてくれないんだ」 彼はすごく困って顔をしている。 「あなたは私のために何をしてくれるの?」 「愛の言葉を伝えるし、素敵なプレゼントもあげる。美味しい食事も食べさせてあげる」 私も困った顔をしていた。 食事の度に思うことがあった。 「私はこんなにもたくさんの命をもらってもいいのだろうか」 昼食にサラダ...

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『ジャンクション~見えない~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~見えない~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~見えない~』 トラックの運転手というのは退屈だ。 毎日毎日同じルートを行ったり来たり。ほとんどの時間は単調な高速道路を走っている。 この日もいつもと同じルートの高速道路を走っていたが、ある地点で視界に一羽のカラスが飛び込んで来た。 「うわっ、びっくりした……」 奴は私の元を離れるとすぐに舞い上がっていった。その先にはこの道路と立体交差したもう一方の道路があった。ここが道路と道路が立体交差するジャンクションであることをすっかり忘れていた。見上げたことで上にも...

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『時間~見える~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~見える~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~見える~』 毎月第三土曜日は全校集会が行われる。俺はこの時間がすごく苦痛だ。 ただ座っていれば終わるのだけれど...まだ教室で嫌いな数学の授業を聞いてた方がマシに思えてくる。 ざわつく体育館の中がだんだんと静かになっていく。壇上の校長の存在に気がついたからだ。 「えー、みなさんが静かになるまで約二分かかりました」 腕時計を見ながら話し始める。 「ここには約千人の生徒が集まっています。二分間×千人なので二千分も無駄にしているのです。みなさんは人の時間を奪ってい...

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『月~向こう側から~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト44

『月~向こう側から~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト44

『月~向こう側から~』 「大気圏突入、着陸まで3、2、1……着陸完了」 乗って来た機械が開いて中から顔を出す者がいた。 「ここが地球か」 夜だった。何があるのかわからないほど真っ暗であったが、実際に何もなかった。 遠くの方で何かが飛んでいるようにも見える。 「あれって」 空を見て、声をあげる者がいた。その先では白くて丸い物体が空に浮んでいた。 「あれが月なのか」 「そう、私達の星だ」 「綺麗だな」 「本で見たものよりもずっと綺麗だ」 地球の探索は順調に進...

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『メモ帳~瞬間~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト43

『メモ帳~瞬間~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト43

『メモ帳~瞬間~』 「そうなんですね! すごいなあ……あっ、メモを取ってもいいですか?」 上司からの返答よりも先にポケットからボールペンとメモ帳を取りだした。 「出たよ。飲み会の席ぐらい大人しく飲んでおけよ」 隣に座る先輩にからかわれても気にはしない。 「いやいや、そういうわけにはいかないんですって」 そう言いながら俺はメモ帳を胸の高さに構えて、一字も逃さないようにしようと見せるため身体を前屈みにする。上司はさっきよりも一段と嬉しそうな表情をして話し始めた。 飲み会での...

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『河童~お皿の深さ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト42

『河童~お皿の深さ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト42

『河童~お皿の深さ~』 「あの、もしよかったら僕と相撲をとってもらいたいんですけど」  丁寧な口調で話しかけてきたのは子供、ではなく子供の体格をした河童だった。 「きゅうりあげますんで」 「え、もうすぐ雨降るらしいから、早く帰りたいんですけど」 「そんなこと言わずに、きゅうりあげますんで」  河童はさもきゅうりが万人の好物であるかのように話している。 「じゃあ、一回だけですよ」 「本当ですか? ありがとうございます!」 土俵なんてものはなく、広い河川敷で行うことにな...

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『プール~見えたもの~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト41

『プール~見えたもの~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト41

『プール~見えたもの』 「おとうさん、プール!」 「わかってるよ」 「すげえ、おおきい!」 「だから、わかってるって」 息子をプールに連れてきたのは初めてだった。小学校では何度か入っていたようだが、民営の大型温水プールを目の前にした息子は大騒ぎだった。 「おとうさんみてて!」 息子が勢いよくプールの中に飛び込んだその瞬間、ピピピッ、と大きな音が笛の音が響いた。 「そこ、飛び込まないで!」 監視員の男性がすぐにこちらへ来て注意をする。だが当の本人は飛び込んだ勢いそのま...

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