白川湊太郎の小説 一覧

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『床屋〜私達の行く末〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜私達の行く末〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜私達の行く末〜』 床が黒く染まっている。先程まで私の頭から生えていた髪の毛だ。だが今は私から切り離されており、床に散らばって存在している。これらは今でも私の身体の一部であるのだろうか。 「髭を剃る前に髪の毛持ってくね、お兄ちゃんごめんね~」 パートの女性が箒と塵取りを持って床に落ちた髪の毛を集めていった。 私の一部である髪の毛が塵取りの中へ吸い込まれていく。 「こっちもごめんね~」 女性は隣の席に落ちている髪の毛も集めていった。私の後に来た中年男性の髪の毛であ...

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『ノート〜きっかけ〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜きっかけ〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜きっかけ〜』 「じゃあ今日は教科書の35ページから始めるぞー」 世界史の先生が教科書の内容を黒板に書き写し、生徒が黒板に書かれた内容をノートに書き写す。ただそれだけのつまらない授業。だから別にノートを取らなくても、先生が授業で取り上げた部分を教科書にチェックするだけで問題はないはず。不満を抱きながらも必死に黒板を見てノートに書き写す作業を繰り返しているのはテスト終了後に板書したノートを確認するからで、仕方ないと割り切っているようだった。 〇〇年 △△戦争 □□年 ×...

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『ゴミ箱〜価値を分ける〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ゴミ箱〜価値を分ける〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ゴミ箱〜価値を分ける〜』 ゴミ箱は存在価値のないものを入れる場所でもあり、入れた物の存在価値をなくしてしまう場所でもある。 一枚の写真を持っていた。数ヶ月前まで付き合っていた彼女との写真だ。二人で旅行に行ったとき、たしか有名な神社の前で撮ったものである。二年半の交際期間中にやりとりしていた手紙は捨ててしまったが、この写真だけは最後まで残ってしまっていた。正直に言うと、私は今でも前の彼女に未練がある... そんな私にも新しい彼女ができた。女性からの半ば強引なアプローチが...

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『電池~なにで動くの?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~なにで動くの?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~なにで動くの?~』 一週間に休みが二回あるとして、その二回が土日に固定されているとすれば、必然的に最も疲れているのは木曜日となるらしい。そんな一日を乗り越えて私は自宅に帰ってきた。 ただいま、という声も出なかったが、扉の開く音を聞いて、娘は父親が帰ったこと気づいたようだ。 「パパ、おかえりー」 声の代わりに手で挙げて答える。心配する娘の顔を見ないままなんとかリビングまで辿り着き、うつ伏せでソファに倒れ込む。 「皺になっちゃうから、先に着替えたら?」 キッチンで夕飯...

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『初雪〜知らないところで〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪〜知らないところで〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪〜知らないところで〜』 「ミートソーススパゲッティをひとつ」 注文をしてからジャケットを脱いだ。 季節は5月。ここ稚内では先月ようやく終雪を迎えたところだった。 稚内が好きだ。かなり寒い地域ではあるが、日本で最も早い初雪が見られる地域であるためとても入っている。 食堂の奥にあるテレビではオーストラリア旅行の特集が放送されていた。日本が春なのに対してシドニーは冬を迎えようとしている。北海道から出たことがない人間の立場から言うと、このようなテレビの影響で重い腰が動くことは...

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『カップ麺〜上手な使い方〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺〜上手な使い方〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺〜上手な使い方〜』 隣のデスクからピッと電子音が聞こえた。どうやら先輩が家から持参したキッチンタイマーを使っているようだ。デスクの上にはカップ麺、おそらく3分間を正確に計るためだろう。僕もお昼ごはんを買うためコンビニにでも行こうと思ったとき、急に先輩が大きな声を出した。 「ああ、どうしよう!」 先輩は大急ぎでオフィスの一番奥にあるデスクへと向かった。 「部長すみません、この部分の入力を間違えていました」 数枚の綴じられた書類のうち一枚を指している。 「なんだ...

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『サンタクロース~試験~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~試験~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~試験~』 「次、396番、山田」 「あ、はい…」 モデルハウスの前に立った。最近のトレンドでは玄関から侵入が多いらしく、そのためか仲間にもピッキング技術に長けた者もいたが俺はそんな技術には頼らない。昔ながらに煙突からの侵入がカッコイイと思っている。 しかし家の周りをぐるりを周ってみるが、どこから入れば良いか見当もつかない。 「すみません、脚立を使っても良いですか?」 教員たちは唖然としたが、一度咳払いをしてから小さく頷いた。 俺は脚立を使って屋根に上り...

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『タータンチェック~絆~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック~絆~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック~絆~』 「それじゃあクレアもやってみなさい」 そういうとお母さんは鈎針付きの糸を渡してきた。 私はそれをあらかじめ取り付けられた12本の糸の間へとゆっくり通していく。 通常、タータンチェックの編み込みでは、縦糸2本ごとに横糸が潜り抜けていくものであるが、今回はすでに横糸が固定されている。だから白い横糸2本ごとに縦糸を潜らせるようにしていた。 緊張で手が震えている。何度も針が横糸に当たってしまい、心の中で何度も「ごめんなさい、ごめんなさい」と唱えていた。し...

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『アンパンマン~誰の味方?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン~誰の味方?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン~誰の味方?~』 「アンパンマンのおかげだよ! ありがとう!」 町のみんなは帰っていった。残ったのはいたずらでみんなを困らせ、アンパンマンにやっつけられた悪者、ばいきんまん一人だった。 「まったく、なんで毎日こんなにも悪いことを思いつくの?」 「ははっ、本当だよなぁ」 アンパンマンが呆れている様子に気がついていないみたいだった。 「君は悪いことなんかしないで、普通に働いていたら良いと思うんだけど」 残念そうな顔でばいきんまんを見ていると、彼は嬉しそうに一言...

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『奇跡~同じ持ち物~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト22

『奇跡~同じ持ち物~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト22

『奇跡~同じ持ち物~』 ガチャン、と大きな音がした。何事かと思ったカウンター席の女が読んでいた本から目線を変えると、隣の席に座る男がカップを倒していた。テーブルにコーヒーが広がっていく。 「ああ、すみません!」 男は素早くハンカチを取り出し女の所までコーヒーが流れていかないよう配慮するが、もともとカップに残っていたコーヒーはそれほど多くなかったので、隣の席まで届くことはなかった。 「大丈夫ですか、かかってませんか?」 心配そうな顔をしながら女に声をかける。 「ええ、大丈夫...

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