白川湊太郎の小説 一覧

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『信号~抵抗~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~抵抗~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト36

『信号~抵抗~』 「締め切り、明日ですよね?」 「だが明日は最終チェックのための予備日なんだぞ」 「作業も、チェックも、両方まとめて一日でやれますって」 「こういうのは時間を空けるからミスに気づけたりするものなんだ」 「部長、俺、今日はどうしても大事なイベントがあるんすよ」 「そう言わずに...ほら、今度飲みに連れてってやるから」 「えーまじすか、残業代出るなら考えますけど」 「えっ、残業代?」 「あ、でも俺、やっぱり今日は連れに会わなきゃなんすよ」 「連れって…...

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『運動会~見せ物~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~見せ物~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト35

『運動会~見せ物~』 ピストルの音と共に第一走者が走り出す様子を、体育座りをした第三走者の俺が眺めている。運動会の最終種目は男子に一周二百メートル×四人のリレー。この勝負で優勝が決まるのだ。 リレーは花形競技だ。このスピード感で競っている様子を見て、観客たちはとても楽しく、頑張っている様子を応援していたいと思うだろう。 第二走者が最後のコーナーを曲がり、こちらへ戻ってくる。彼は野球部、クラスでも一、二を争う足が速さだった。第一走者と第二走者、二人の活躍により、俺たちのクラスが二...

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『食堂~惜しまれながらも店じまい~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト34

『食堂~惜しまれながらも店じまい~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト34

『食堂~惜しまれながらも店じまい~』 仕事が思ったよりも長引き、急ぎ足で最寄りの駅に向かっているあいだに、日はほとんど落ちてしまった。汗でワイシャツが濡れて気持ち悪いが、冷房の効いた車内を思い浮かべることで何とか耐え忍ぶ。何しろ今日を逃せば二度と機会は訪れないのだ。あの店は明日には無くなってしまうのだから… たまたま近くを通りかかったときに、偶然ガラス戸の張り紙が目に留まり、どうしても行っておかなければと思ったのだ。大学時代に随分と通った店の存在すら忘れていたにも関わらずである。...

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『エスパー~末路~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト33

『エスパー~末路~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト33

『エスパー~末路~』 「さあ始まりました人気エスパーの頂上決戦、1分間にいくつのスプーンを曲げられるのでしょうか?」 ステージには3人のエスパーが並ぶ。色鮮やかなシャツを着て観覧車に愛想をふりまく男性、黒いマントに身を包み多くを語らないミステリアスな雰囲気をした女性、正体不明という設定で仮面を被っている者も。それぞれ特徴のあるキャラクターをしている。 「それではいきますよ。用意スタート!」 一斉にスプーン曲げを始める。3人ともテンポ良くスプーンを曲げていき、その様子に観覧者は...

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『森〜凝縮〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト32

『森〜凝縮〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト32

『森〜凝縮〜』 私の好きな声優さんがラジオでブロッコリーのことを“凝縮した森”って言ってた。 なるほどね、たしかにグッと敷き詰められた森みたいな野菜だ。 あ、うん。見れば見るほど食べたくなくなってくるよ… 「またブロッコリー残して! ちゃんと食べなさいって言ってるでしょ!」 こうやって高校生になった今でも、野菜を残そうとしてお母さんに怒られているんだ。 他の野菜はほとんど食べているんだから、ブロッコリーくらい多めに見てくれないかな。 私は“凝縮した森”を上から眺めた。な...

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『床屋〜私達の行く末〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜私達の行く末〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト31

『床屋〜私達の行く末〜』 床が黒く染まっている。先程まで私の頭から生えていた髪の毛だ。だが今は私から切り離されており、床に散らばって存在している。これらは今でも私の身体の一部であるのだろうか。 「髭を剃る前に髪の毛持ってくね、お兄ちゃんごめんね~」 パートの女性が箒と塵取りを持って床に落ちた髪の毛を集めていった。 私の一部である髪の毛が塵取りの中へ吸い込まれていく。 「こっちもごめんね~」 女性は隣の席に落ちている髪の毛も集めていった。私の後に来た中年男性の髪の毛であ...

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『ノート〜きっかけ〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜きっかけ〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ノート〜きっかけ〜』 「じゃあ今日は教科書の35ページから始めるぞー」 世界史の先生が教科書の内容を黒板に書き写し、生徒が黒板に書かれた内容をノートに書き写す。ただそれだけのつまらない授業。だから別にノートを取らなくても、先生が授業で取り上げた部分を教科書にチェックするだけで問題はないはず。不満を抱きながらも必死に黒板を見てノートに書き写す作業を繰り返しているのはテスト終了後に板書したノートを確認するからで、仕方ないと割り切っているようだった。 〇〇年 △△戦争 □□年 ×...

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『ゴミ箱〜価値を分ける〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ゴミ箱〜価値を分ける〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト30

『ゴミ箱〜価値を分ける〜』 ゴミ箱は存在価値のないものを入れる場所でもあり、入れた物の存在価値をなくしてしまう場所でもある。 一枚の写真を持っていた。数ヶ月前まで付き合っていた彼女との写真だ。二人で旅行に行ったとき、たしか有名な神社の前で撮ったものである。二年半の交際期間中にやりとりしていた手紙は捨ててしまったが、この写真だけは最後まで残ってしまっていた。正直に言うと、私は今でも前の彼女に未練がある... そんな私にも新しい彼女ができた。女性からの半ば強引なアプローチが...

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『電池~なにで動くの?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~なにで動くの?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~なにで動くの?~』 一週間に休みが二回あるとして、その二回が土日に固定されているとすれば、必然的に最も疲れているのは木曜日となるらしい。そんな一日を乗り越えて私は自宅に帰ってきた。 ただいま、という声も出なかったが、扉の開く音を聞いて、娘は父親が帰ったこと気づいたようだ。 「パパ、おかえりー」 声の代わりに手で挙げて答える。心配する娘の顔を見ないままなんとかリビングまで辿り着き、うつ伏せでソファに倒れ込む。 「皺になっちゃうから、先に着替えたら?」 キッチンで夕飯...

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『初雪〜知らないところで〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪〜知らないところで〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪〜知らないところで〜』 「ミートソーススパゲッティをひとつ」 注文をしてからジャケットを脱いだ。 季節は5月。ここ稚内では先月ようやく終雪を迎えたところだった。 稚内が好きだ。かなり寒い地域ではあるが、日本で最も早い初雪が見られる地域であるためとても入っている。 食堂の奥にあるテレビではオーストラリア旅行の特集が放送されていた。日本が春なのに対してシドニーは冬を迎えようとしている。北海道から出たことがない人間の立場から言うと、このようなテレビの影響で重い腰が動くことは...

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