白川湊太郎の小説 一覧

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『電池~なにで動くの?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~なにで動くの?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト28

『電池~なにで動くの?~』 一週間に休みが二回あるとして、その二回が土日に固定されているとすれば、必然的に最も疲れているのは木曜日となるらしい。そんな一日を乗り越えて私は自宅に帰ってきた。 ただいま、という声も出なかったが、扉の開く音を聞いて、娘は父親が帰ったこと気づいたようだ。 「パパ、おかえりー」 声の代わりに手で挙げて答える。心配する娘の顔を見ないままなんとかリビングまで辿り着き、うつ伏せでソファに倒れ込む。 「皺になっちゃうから、先に着替えたら?」 キッチンで夕飯...

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『初雪〜知らないところで〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪〜知らないところで〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト27

『初雪〜知らないところで〜』 「ミートソーススパゲッティをひとつ」 注文をしてからジャケットを脱いだ。 季節は5月。ここ稚内では先月ようやく終雪を迎えたところだった。 稚内が好きだ。かなり寒い地域ではあるが、日本で最も早い初雪が見られる地域であるためとても入っている。 食堂の奥にあるテレビではオーストラリア旅行の特集が放送されていた。日本が春なのに対してシドニーは冬を迎えようとしている。北海道から出たことがない人間の立場から言うと、このようなテレビの影響で重い腰が動くことは...

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『カップ麺〜上手な使い方〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺〜上手な使い方〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト26

『カップ麺〜上手な使い方〜』 隣のデスクからピッと電子音が聞こえた。どうやら先輩が家から持参したキッチンタイマーを使っているようだ。デスクの上にはカップ麺、おそらく3分間を正確に計るためだろう。僕もお昼ごはんを買うためコンビニにでも行こうと思ったとき、急に先輩が大きな声を出した。 「ああ、どうしよう!」 先輩は大急ぎでオフィスの一番奥にあるデスクへと向かった。 「部長すみません、この部分の入力を間違えていました」 数枚の綴じられた書類のうち一枚を指している。 「なんだ...

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『サンタクロース~試験~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~試験~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト25

『サンタクロース~試験~』 「次、396番、山田」 「あ、はい…」 モデルハウスの前に立った。最近のトレンドでは玄関から侵入が多いらしく、そのためか仲間にもピッキング技術に長けた者もいたが俺はそんな技術には頼らない。昔ながらに煙突からの侵入がカッコイイと思っている。 しかし家の周りをぐるりを周ってみるが、どこから入れば良いか見当もつかない。 「すみません、脚立を使っても良いですか?」 教員たちは唖然としたが、一度咳払いをしてから小さく頷いた。 俺は脚立を使って屋根に上り...

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『タータンチェック~絆~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック~絆~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト24

『タータンチェック~絆~』 「それじゃあクレアもやってみなさい」 そういうとお母さんは鈎針付きの糸を渡してきた。 私はそれをあらかじめ取り付けられた12本の糸の間へとゆっくり通していく。 通常、タータンチェックの編み込みでは、縦糸2本ごとに横糸が潜り抜けていくものであるが、今回はすでに横糸が固定されている。だから白い横糸2本ごとに縦糸を潜らせるようにしていた。 緊張で手が震えている。何度も針が横糸に当たってしまい、心の中で何度も「ごめんなさい、ごめんなさい」と唱えていた。し...

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『アンパンマン~誰の味方?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン~誰の味方?~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト23

『アンパンマン~誰の味方?~』 「アンパンマンのおかげだよ! ありがとう!」 町のみんなは帰っていった。残ったのはいたずらでみんなを困らせ、アンパンマンにやっつけられた悪者、ばいきんまん一人だった。 「まったく、なんで毎日こんなにも悪いことを思いつくの?」 「ははっ、本当だよなぁ」 アンパンマンが呆れている様子に気がついていないみたいだった。 「君は悪いことなんかしないで、普通に働いていたら良いと思うんだけど」 残念そうな顔でばいきんまんを見ていると、彼は嬉しそうに一言...

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『奇跡~同じ持ち物~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト22

『奇跡~同じ持ち物~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト22

『奇跡~同じ持ち物~』 ガチャン、と大きな音がした。何事かと思ったカウンター席の女が読んでいた本から目線を変えると、隣の席に座る男がカップを倒していた。テーブルにコーヒーが広がっていく。 「ああ、すみません!」 男は素早くハンカチを取り出し女の所までコーヒーが流れていかないよう配慮するが、もともとカップに残っていたコーヒーはそれほど多くなかったので、隣の席まで届くことはなかった。 「大丈夫ですか、かかってませんか?」 心配そうな顔をしながら女に声をかける。 「ええ、大丈夫...

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『鎖骨~守られたい~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト21

『鎖骨~守られたい~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト21

『鎖骨~守られたい~』 鎖骨美人になりたい、北川景子、菜々緒、ローラみたいな。 くっきりとした鎖骨が左右とも水平で同じ高さにあると、とても綺麗に見える。 鎖骨が綺麗な女性は華奢なイメージがあって守ってあげたくなるらしい。私が憧れているあの人も言ってた。 鏡で自分の身体を映す。 肩回りに脂肪がたくさんついてて、どこに鎖骨があるのかわからなった。 鎖骨より下のお腹周りは…見ないようにした。 少なくとも守られるより守る方が似合うような体型だった。 私は男性に守られたかっ...

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『地下鉄〜同じ方向〜』白川湊太郎−ショート小説コンテスト20

『地下鉄〜同じ方向〜』白川湊太郎−ショート小説コンテスト20

『地下鉄〜同じ方向〜』 改札を出た、JRの改札だ。俺が住んでいるあの田舎と今いるこの都会が同じ日本だということを不思議に思っていたが、特急に乗って外の景色を見ていたら、だんだんビルの数や高さが変化していったので、なんとなく一続きの土地なのだと理解できた。 とにかく都会は人が多い、どこにいても人、人、人...数えきれないほどの人が、それぞれ思い思いの方向に進んでいくので、上手ぶつからないように歩くことがとても大変だった。俺はどこか人とぶつからないところに逃げ込みたいと思った。 ...

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『毒~保つことのできぬ若さ~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト18

『毒~保つことのできぬ若さ~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト18

『毒~保つことのできぬ若さ~』 いつまでも若くありたい、そう願う人は多いと思うが、気持ちの強さは人によって異なる。 若さへの執着が強い人ほど、生への執着も強いようだが、逆もまた同じなのだろうか。 小さい頃からテレビが好きだった。その中でも特に好んでいたのはバラエティで、タレントや芸人がふざけている様子に喜んでいた。母親はそんな僕に対して「目の毒だから見るのをやめなさい」と注意していたが、構わなかった。 高校を卒業した僕はタレントになった。母親が「目の毒だから」と言っていたテレ...

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