白川湊太郎の小説 一覧

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『奇跡~同じ持ち物~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト22

『奇跡~同じ持ち物~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト22

『奇跡~同じ持ち物~』 ガチャン、と大きな音がした。何事かと思ったカウンター席の女が読んでいた本から目線を変えると、隣の席に座る男がカップを倒していた。テーブルにコーヒーが広がっていく。 「ああ、すみません!」 男は素早くハンカチを取り出し女の所までコーヒーが流れていかないよう配慮するが、もともとカップに残っていたコーヒーはそれほど多くなかったので、隣の席まで届くことはなかった。 「大丈夫ですか、かかってませんか?」 心配そうな顔をしながら女に声をかける。 「ええ、大丈夫...

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『鎖骨~守られたい~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト21

『鎖骨~守られたい~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト21

『鎖骨~守られたい~』 鎖骨美人になりたい、北川景子、菜々緒、ローラみたいな。 くっきりとした鎖骨が左右とも水平で同じ高さにあると、とても綺麗に見える。 鎖骨が綺麗な女性は華奢なイメージがあって守ってあげたくなるらしい。私が憧れているあの人も言ってた。 鏡で自分の身体を映す。 肩回りに脂肪がたくさんついてて、どこに鎖骨があるのかわからなった。 鎖骨より下のお腹周りは…見ないようにした。 少なくとも守られるより守る方が似合うような体型だった。 私は男性に守られたかっ...

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『地下鉄〜同じ方向〜』白川湊太郎−ショート小説コンテスト20

『地下鉄〜同じ方向〜』白川湊太郎−ショート小説コンテスト20

『地下鉄〜同じ方向〜』 改札を出た、JRの改札だ。俺が住んでいるあの田舎と今いるこの都会が同じ日本だということを不思議に思っていたが、特急に乗って外の景色を見ていたら、だんだんビルの数や高さが変化していったので、なんとなく一続きの土地なのだと理解できた。 とにかく都会は人が多い、どこにいても人、人、人...数えきれないほどの人が、それぞれ思い思いの方向に進んでいくので、上手ぶつからないように歩くことがとても大変だった。俺はどこか人とぶつからないところに逃げ込みたいと思った。 ...

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『毒~保つことのできぬ若さ~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト18

『毒~保つことのできぬ若さ~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト18

『毒~保つことのできぬ若さ~』 いつまでも若くありたい、そう願う人は多いと思うが、気持ちの強さは人によって異なる。 若さへの執着が強い人ほど、生への執着も強いようだが、逆もまた同じなのだろうか。 小さい頃からテレビが好きだった。その中でも特に好んでいたのはバラエティで、タレントや芸人がふざけている様子に喜んでいた。母親はそんな僕に対して「目の毒だから見るのをやめなさい」と注意していたが、構わなかった。 高校を卒業した僕はタレントになった。母親が「目の毒だから」と言っていたテレ...

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『靴下~足元から元気を~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト18

『靴下~足元から元気を~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト18

『靴下~足元から元気を~』 新しい配属先でも支店長を務めることになったが、みな優秀なので仕事も大きな問題なく進められるだろうと思った。 一つだけ疑問があるとすれば、窓口に座りお客様の応対をしている女性だ。仕事は丁寧でミスもほとんどない。 靴下が恐竜のイラストでなければ言うことなしなのだが… 恐竜だけではない、新幹線のような小さい男の子が好みそうなものや、アニメのキャラクターのことだってある。 銀行の窓口業務だけならば、お客さんに足元を見られることもないと思うが、一緒に働くこ...

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『麒麟~村の発展~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト17

『麒麟~村の発展~』白川湊太郎−ショート小説コンテスト17

『麒麟~~村の発展~』 あるところに、貧しい村がありました。 多くの人が野菜や麦を作り、自給自足をしている村です。 その村をもっと発展させようと村長は考えました。 「お酒を造って、この村の名物として売り出そう!」 遠くの国では麦を使ったお酒が人気らしく、この村でも造ろうと考えたのです。 村民たちの努力によって美味しいお酒はできましたが、なかなか売れません。 次に村長が考えたのはお酒を入れる容器の絵です。 幸せな気持ちで飲むことができる絵にしようと考え、中国の聖獣で縁...

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『一生懸命〜道化〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト16

『一生懸命〜道化〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト16

『一生懸命〜道化〜』 『かんぱーい』 勢いよくジョッキを傾けて、喉を鳴らしながら大きな音を立てて飲む。 「いやあ、みんなで飲むお酒は格別に美味しいですねえ!」 わざと大声を出してみる。考えてみたら仕事中はこんな声は出してはいない。 俺の勤める職場では一年に4回ほど、毎シーズン飲み会が行われる。 俺はこの飲み会がとても苦手だ。みんなが大人しく、粛々と飲むだけで盛り上がることはほとんどなかった。こんな居心地の悪いものは避けたいが、飲み会を休むっていうと社長...

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『向日葵〜お互いに向き合って〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト15

『向日葵〜お互いに向き合って〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト15

『向日葵〜お互いに向き合って〜』 「財布、携帯…と、そろそろいかなきゃ」 リビングに飾ってあるひまわり畑の写真をもう一度見てから家を出る。一緒に住む彼は、今頃リハーサル中だろうか。 私の彼は役者として活躍している。テレビに出ることはほとんどないが、お芝居が好きな人達の間ではかなり有名な人間だ。そんな人とも付き合っていることが嬉しくもあり、悔しくもあった。 劇場へ向かう途中に花屋さんに立ち寄った。 花は色鮮やかで美しいが、その命は短い。その儚さ...

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『黒のTシャツ~ずっと一緒~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト14

『黒のTシャツ~ずっと一緒~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト14

『黒のTシャツ~ずっと一緒~』 毎日肌に身に着けるのは黒のTシャツだと決めていた。決めていたというよりも、選んだり考えたりすることが面倒だったので、いつも同じお店で同じ黒のTシャツを買っていた。白のTシャツなんて根暗で偏屈な俺には似合わないと思って着なかった。そんな俺は一人暮らしで彼女もいない。 ある夜、俺は夢を見た。いつも着ている黒のTシャツの夢だ。 暗闇の中でTシャツが宙を浮いている。かと思うとそれは急に大きく輝き、首元の部分から女の顔が生えてきた。その女は...

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『とんかつソース〜わずかな女子力〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト13

『とんかつソース〜わずかな女子力〜』白川湊太郎-ショート小説コンテスト13

『とんかつソース〜わずかな女子力〜』 普通のOLならばとっくに自宅へ帰ってお風呂に入り、ベッドの中にいるだろう。 しかし普通じゃないOLの私はこの時間も仕事をしている。 デザイン事務所で働くことがこんなにも大変だったとは…毎日何かの納期に追われていて、終電で帰ることができれば良い方。もし帰れなかったら夜通し仕事をして、始発で帰ってシャワーを浴び、仮眠をとって再び出勤する。 こんな狂った生活をしているといつか頭がおかしくなりそう。 時間もなくて、お金もなくて、むさくるしい...

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