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『犬~特別~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~特別~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~特別~』 【俺は犬だ。なぜか、耳と尻尾がある。 人間からしたら、俺のこの秘密はキショイんだろうなぁ。】 耳をセロテープでとめて、バレないように髪の毛を長めにしている。尻尾は常にケツに挟んでる。 ウンコするときは大変で、いちいち気を遣う。あと大勢で着替えなあかんときも大変。 俺のパンツを履くスピードは世界一やと思う。将来いつかセックスするときはどうしようか? シリコン製のケツのパッドを作ってもらって、それを装着しようか。世間広いねんから一人ぐらい ケツに割れ目な...

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『犬~序列~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~序列~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~序列~』 「犬、飼いたいんだけど…」 娘の塾と私の仕事、その両方の都合が良くて家族三人が揃った数少ない夕食の機会を狙って恐る恐る尋ねてみた。 「ええー。誰が世話すんのよ?」 「もちろんお父さんがするから」 「ん、なになに、お父さん犬飼うの?」 娘はテレビの方を向いたまま会話に参加してきた。食事中はテレビを観ないようにと保育園の頃から何度も注意していたが一向に直す気配がなかったため、中学校を卒業した時点で夫婦ともに諦めてしまった。 「そうみたいなのよ。自分で世話する...

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『犬~ペット~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~ペット~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト40

『犬~ペット~』 いつものように、首輪をして。  リードも忘れないように。 「さ、行こうか」  僕が微笑むと、彼は嬉しそうに頷いた。  近くの空き地に着いたら、リードを放す。  そして、持っているボールを投げる。  彼はそれを追いかけて、持って帰る。 「良い子だね」  頭を撫でて、もう一度。  今度は、先ほどよりも速く持ってきた。  そうやって、しばらく遊んだあと。  僕は彼を呼び、リードを持つ。 「ご飯をかって帰ろうか」  僕の言葉に、彼は目を輝かせ...

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息子1歳5カ月『ゲーセンと、歯磨きを嫌がることと、悪いことをする表情と、』

息子1歳5カ月『ゲーセンと、歯磨きを嫌がることと、悪いことをする表情と、』

『ゲーセン』 ようやく靴をはいて歩くようになった息子だが、まだまだ外で歩かせると車などがあり危ないので、 閑散としてるゲーセンなんかが恰好の遊び場になる。 歩いては色んなボタンを押し、ボタンを押したいから転けてもまた立ちあがる。 たまにマシンを動かしてあげるも特になんの嬉しさも表現しないが、 とにかく歩く出だしや、ボタンを押すという好奇心が楽しいのか、にやにやして走り出す。 きやー!と声をあげるも元々うるさい環境のゲーセンなので特に気にならない。 人のいないゲーセン...

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『映画~初デート~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~初デート~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~初デート~』 周りに座っている仲の良さそうな大人の男女を見ていると、僕と恵美ちゃんもカップルに見られているのだろうと思って嬉しくなったが、隣に座る恵美ちゃんはそれほど楽しそうな表情をしてはいない。 「映画、楽しみだね」 何を話せば良いのかわからずに場繋ぎの言葉を口に出してみる。 「そうだねー」 言葉とは裏腹で恵美ちゃんには共感するつもりがないらしく、つまらなさそうにスマホの画面を見ながら答えていて、僕はさらに不安になってしまう。 勇気を出してクラスで人気の恵...

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『映画~メモリー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~メモリー~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~メモリー~』 「紀治(としはる)、見てみろ。この大画面に、たっっくさん夢が映る。静かに、黙って見てろよ」  父さんは僕に言う。 「感動を口に出すのは、家でやるものだ。外で言ったら、他の人が困ってしまうからね」 「そうなの?」 「ああ、紀治の好きなアニメの最新話を、急に言われたら吃驚しちゃうし。嫌だろ?」 「うん」 「それと一緒さ。ずっと待っていた人だっているんだ。だから、静かにしておこうな」 「うんっ」  僕は頷き、目の前の大画面を見る。  左には父さん。...

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『映画~断定的な幸せ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~断定的な幸せ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト39

『映画~断定的な幸せ~』 「おい吾朗!いくぞ!」 「どこに?」 「シネマに決まってるやないか。3分で用意せい。シンネンマーや。」 父は思い立ったらすぐ行動の人だ。僕がズボンを履いて携帯と財布をポケットに入れている間に、父はもう玄関先に車を回していた。 「映画なんじからなん?」僕は父に訊くと 「いや、知らん」と応える。父らしいなとくすっと笑い、 「じゃあなんの映画を観るん?」と訊くと 「なんかCMでやっとったんや。『死ぬ前にする人生のやりたいこと』やったかなんやったか。...

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『ユージュアルサスペクツ』カイザーソゼとガラガラ声で言ってみたくなる映画

『ユージュアルサスペクツ』カイザーソゼとガラガラ声で言ってみたくなる映画

最後観終わった時に、あーそうゆうことかぁという伏線回収の気持ちよさと、 ん?じゃああの表現はどうだったんだろう?という疑問点が湧き、もう一度みないと分からないことが多い。 基本的にケビンスペイシー演じるバーバルが警察官に起こった事象を話していく物語なので、 バーバル自体が黒幕であり、全部作り話だとすると、果たして何が真実で何が嘘だったのかがはっきりしなくなる。 キートンの心情やバックボーンが色濃く表現されているのは、 キートンがカイザーソゼと結び付ける心理的なバーバルの...

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『望遠鏡~知識の伝達~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~知識の伝達~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~知識の伝達~』 祖父が死んで半年が経った。 言葉が出ないくらいに泣いていた僕も、今や大学の仲間たちと岩手にツーリング旅行をしている。 家が狭いせいで祖父と寝室が一緒だった僕は特に祖父のお気に入りで、いろいろと世話をかけてもらった。 高校の頃に自分の部屋を持ちたいと言った時の祖父の悲しそうな顔が忘れられなくて、寝るときだけは祖父の横に布団を敷いてしばらくは寝ていた。でも、いつからかそれも面倒で自分のソファベッドで寝るようになったっけ。 奥入瀬渓流の近くにバイ...

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『望遠鏡~親子で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~親子で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト38

『望遠鏡~親子で~』 晴れた日の夜には無数の星が輝いている。それは人間が作り出した光の多くを排除できたからこそ見られるものだ。私は望遠鏡を通してこの星を眺める度に都会を離れて良かったと思う。 しかし、息子はそうでもない様で、いつも「ここはつまらない」とばかり呟いている。父親である私に付き合わされて田舎へと引っ越すことになったのだから。 「なあ、ちょっと見てみないか?」 「別に、いい・・・」 参考書から目を離さないまま返事が来た。こんな会話を毎日繰り返している。息子は十五歳。...

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