『おなら〜プー太郎〜』黒川洸太郎−ショート小説コンテスト③

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『おなら〜プー太郎〜』

あいつは『おならプー太郎』。クラスでそう呼ばれてる。クラスが変わり1日目に英語の授業中で、とんでもなく臭い屁をこいてから、そう呼ばれている。なにもこいつはおならだけではなく、人前で鼻クソはほじるし、鼻毛は伸ばしたままだ。女子からは不潔がられ、男子はカンチョーしたり消しゴムを投げたりしてイジっていた。

そんな時こいつはヘラヘラ笑っている。なのでイジリがイジメに変わるまでの時間はかからなかった。背中に突然跳び蹴りをされたり、腕にマジックで落書きされたり、ロッカーをエロ本置き場に変えられたりした。挙げ句の果てには、イケてるグループが落とし穴ドッキリだとかいって、こいつを落とし穴に誘導した。

結果、誘導は失敗し、落とし穴は徒労に終わるのだが、リーダー格がこいつを引っ張り無理矢理落とし穴に突き落とした。右足がはまり派手に転ぶ。次の日こいつは捻挫した足首を包帯でぐるぐる巻きになりながらもヘラヘラとして日常をおくっていた。自分がイジメられているレベル感をこいつは把握出来ていない。

ある日のホームルーム、学校の中庭の池にいる鯉が死んだと先生が言った。何者かによって池から地面にだされ、干からびていたようだ。俺はその話を聞いて胸糞悪く感じたが、どうせ明日も平然とした日常が続くと思っていた。だが、おならプー太郎は一通り話を聞き自分の中で嚙み砕き終わると、癇癪を起こし机をドンドンと床に押し付け暴れだした。クラス全員ドン引きだったが、俺は何かグッとくるものがあって、こいつのことが気になりはじめた。

次の日の休み時間、こいつは運動場の端っこで上を向いていた。なにかあるのかと思い、俺も窓から空を見上げると、晴天の中真っ青な空の中をスーッと流れる一つの雲が見えた。俺はまたこいつに目を戻すと、まだこいつはずっと空を見ていて動かなかった。また俺は空を見上げてみると、さっきより少し移動した雲が見える。もう一度目を戻す。もう一度を空を見上げる。雲を見つめる。じっと見つめる。

感情を処理するスピードの違いなんだろうなぁ。
俺もおならをこいてみようかなぁ。

〜黒川洸太郎〜

ショート小説コンテスト

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