そこには180cmほどの高い壁が、道なりに100メートルほどつづいている。
小さい頃は、塀の向こう側に何があるのか分からなかった。
そして、なんの施設なのかも分かっていなかった。
お父さんに聴いても、日東電工と云う言葉が右から左へ突き抜けていった。
よく友達とボールをその壁にワンツーしながら帰宅したのを覚えている。
その塀の向こう側には怪しい研究室。帰りが遅くなったりすると、なにか不気味な存在でもあった。
想像力を巡らし、こっから何かが飛び出してくる。
想像力を巡らし、向こう側に怪物が居る。
昨日久しぶりに壁の横をあるくと、190cmある僕は壁の向こうが丸見えだった。
ただの芝生が広がっていた。
現実が想像力を欠如させていく。
「知る」ということは、日々をノンストレスにさせていくと共に、
想像力の乏しい大人へ成長させていく気がして怖かった。
最近のコメント