『くじら~貢献~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト47

*ぶろぐ村に参加してます!
にほんブログ村 子育てブログ パパの育児へ にほんブログ村 小説ブログへ



『くじら~貢献~』

男の人と食事に来ていた。
「くじらって美味しいんだね」
「そうだね」
「君のことが好きだ、愛している」
「…ありがとう」
「どうして応えてくれないんだ」
彼はすごく困って顔をしている。
「あなたは私のために何をしてくれるの?」
「愛の言葉を伝えるし、素敵なプレゼントもあげる。美味しい食事も食べさせてあげる」
私も困った顔をしていた。

食事の度に思うことがあった。
「私はこんなにもたくさんの命をもらってもいいのだろうか」
昼食にサラダパスタを食べているときはまだマシだったけど、特に気持ちが強くなるのは焼肉にいったときだ。私の食べたい欲を満たすために、どれだけの鶏や豚や牛が生きるのをやめることになったんだろうって思う。切られたお肉を通して悲しそうな動物たちの顔が見えるような気がしていた。
食物連鎖のピラミッド。一番下には細菌やバクテリアがあって、そこから栄養をもらって植物が育つ。その植物たちを食べる草食動物がいて、その草食動物を食べる肉食動物がいる。そしてピラミッドの頂点に立つと言われてる私達人間は、それら全てを食べる権利がある。人間がピラミッドの頂点に立っているなんて決めたのも人間だ。おそらく他の動物たちはよく思っていないだろう。

くじらのお肉を食べながら、イソップ童話のピノキオを思い出していた。
ピノキオとおじいさんは海でくじらに飲み込まれる。くじらなら人間を丸飲みできるほどに身体が大きいのだ。シロナガスクジラは体長が30mもある。現存する生物の中で最大種と言われている。
私達人間も命を与える側に回らなくても良いのだろうか。
くじらなら、人間を食べてはくれないだろうか。
私はくじらが大好きなわけじゃないけれど、愛の言葉を伝えたりプレゼントをあげるよりも、食べられるってストレートに相手へ貢献できる行為だと思った。

―白川湊太郎―

ショート小説コンテスト

*ぶろぐ村に参加してます!
にほんブログ村 子育てブログ パパの育児へ にほんブログ村 小説ブログへ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA