『ショベルカー~ここ掘れワンワン~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト48

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『ショベルカー~ここ掘れワンワン~』

あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人は川で溺れていた子犬を助けてやり、家で飼うことにしました。

あるとき子犬は畑の土を掘りながら「ここ掘れワンワン」と鳴き始めました。
おじいさんが鍬(くわ)で畑を掘ったところ、たくさんのお金が掘り出されました。
驚きながらも二人は喜んで、そのお金で幸せに暮らしました。

それから数年が経ち、子犬は老犬となり、おじいさんもさらにおじいさんになっていました。
「あのとき僕を助けてくれてありがとう」
「なにを今さら…」
「これが最後です、ここ掘れワンワン」
そのまま犬は寿命がきて、死んでしまいました。
おじいさんは犬を供養してから、犬に指示された場所を鍬で掘り始めました。
ザッ、ザッ、ザッ……
しかし、おじいさんが鍬でどれだけ掘っても何も出てくる気配がありません。
「あの犬が教えてくれたのだ、確かにここには何かある」
そこでおじいさんは決心したのです……

おじいさんはまず、自動車学校に入学しました。
今までずっと畑仕事一筋だったおじいさんは普通自動車免許も持っていなかったため、せっかくなので大型自動車免許を取りました。
大型自動車免許を取得したおじいさんは、次に「車両系建設機械運転技能講習」という資格を取ることにしました。これは3t以上の重量がある車の運転が可能になる資格です。
日本人男性の平均寿命をとっくに超えてしまっているおじいさんでしたが、13時間程度の学科講習では講師の話すことを真剣に聞いてメモを取り、テキストの重要な部分には蛍光ペンを引きました。
また、25時間の実技講習では走行操作と作業に必要な装置の操作を練習しました。
普段は鍬しか握らないおじいさんは操作に苦戦しました。
ですが、事前に「実技講習は屋外で行われるので、晴天の日が有利」と調べてており、気候が安定している春に受講したため、屋外での実技試験もなんとか乗り越えました。

ガガガッガガガ……
ヘルメットを被ったおじいさんは、犬が死ぬ間際に「ここ掘れワンワン」と伝えて場所へショベルカーに乗りながら向かっていました。
おじいさんは犬に感謝していました。
「畑仕事一筋だった私が他の事をこんなにも勉強したのは、お前のお陰だよ。ありがとう」
その場所に何が埋まっているのかなど、最早おじいさんにはどうでも良いことでした。
おじいさんはただただ自分がとった油圧式ショベルの資格を活用してみたいと思いながらレバーを前に倒すのでした。

―白川湊太郎―

ショート小説コンテスト

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