『暖炉~ルービックキューブ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト50



『暖炉~ルービックキューブ~』

ホームパーティーという名のもとで親に連れて行かれた場所はこの街で一番の豪邸だった。
親以外は全く知らない環境で緊張していた僕に対し、
親は「ほら、お友達がいっぱいいるよ。遊んでおいで。」とだけ言い放ち、知り合いらしいおばさんと談笑する。

確かに僕以外に10人程子どもがいて、彼らはお互いを知っているのか知っていないのか隅の方で余所余所しく遊んでいた。
僕は何か一人で遊べるものがないかを探しルービックキューブが転がっていたので、これはラッキーだと思った。次に僕は居場所を探した。ここでは無い部屋が良かったので、豪邸を探検する。
応接間のような場所がいくつもあり、ホームパーティーを開催している場所は一部に過ぎないのだと知る。

少し趣向の違うドアを開けてみると、そこはとても温かいのに電気が点いておらず変な感じがした。
ふと見ると暖炉の火が灯っており温かさの要因はここにあるのだと知る。
僕は恐る恐る暖炉のそばに歩いて行くと、僕と同い年ぐらいの赤髪の少年が暖炉の前で座っていた。

「うわっ」と悲鳴をあげると、
「驚かせてごめんよ。電気を点けておいたら良かったね。」と冷静に応えた。
僕はその言葉に平静を取り戻し、少年に向き合うと、赤髪に見えていた色は白髪が暖炉の火で赤く見えていただけだと知る。

「変わってるだろ。この髪。白いんだ。」
「うん。産まれて初めて見た。」と本音で言った。
「『アルビノ』って言うんだって。僕はもともと髪の色素が薄く産まれてきたんだ。」
「へー。かっこいいね。」と本音で言った。
少年は少し顔をしかめ、
「かっこよくないよ。みんなはみんなと違うことを嫌うんだ。僕はみんなと一緒にいちゃいけない。」なんて言うから
「へー。でも僕はかっこいいと思った。それこそ他のみんなとひとくくりにしてほしくない。」と気のきいた言葉をかけてやった。
少年は少し顔をゆるめた。

「何持ってるの?」
「ルービックキューブ」
「僕もそれ好きなんだ。一人になれるし、なにかをやってるという行動は誰かを安心させるみたい。」
「その感覚すごく分かるな。親は勝手だよな。それに子どもを見くびってる。」
「それなりにいろいろ考えてるのにね。」
「まぁ親も親なりの面子があるから付き合ってやろうよ。じゃあさ、この黄色の一面がそろったら君が次の一面を作ってよ。」
「いいよ。」
少年は笑う。

―黒川洸太郎―

ショート小説コンテスト

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