『プレゼント~縛り~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト52

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『プレゼント~縛り~』

『今日ヒマな人~?』
『すまん。日曜出勤なんだ汗』
『俺も』
『私は今日から旅行だよ~』

「見てよこのグループライン」とスマホを見せてきたのは、1ヶ月前に友人の紹介で知り合った看護師の貴子だ。
「これがどうしたの?」と率直な疑問をぶつけると、貴子は少し拗ねたような顔をした。分かってくれないんだと残念がっているのだろうか。
自分も彼女が欲しかった時期なので、貴子でもまぁそうゆう流れになればそれはそれで良いかな。というレベルで僕は貴子に少ながらずの好意を持っていた。
「学生の頃はみんな暇で暇で仕方なかったのに、社会人になるとこうなるの。なんか淋しくない?」
僕が5年前ぐらいに考えていた事をこの子は真剣に考えているのだと思うと、どこか引いてしまった。
「そうゆうもんじゃない。そんなの分かり切ってたことじゃないか。」と、今のは自分でも冷たかったんじゃないかなというトーンで応えると、会話は途切れてしまった。

なにかこの雰囲気を打開しようと思い、
「ミスタードーナツって昔ラーメン売ってたの知ってる?」とどうでもいいことを言うと、
スマホをいじりながら「知らない。」と言い放つ。
僕は手持無沙汰になり、彼女の顔をまるで風景をみるかのように、遠い目で見る。
『あぁ俺はなんでこんな女と一緒にいるんだろう。そしてどうして多忙な時間を割いてデートしている休日なのに、なんでこんなにしんどい思いをしなければならないんだろう。あそこのカップルはずっとにこにこしていてなんて幸せそうなんだろう。家で一人でファイナルファンタジーやってる方が幾分幸せだったのに・・・』
と思ったりした。

その夜、僕のチョコファッションは結局マズイ珈琲と共に胃の中で消化され、おもしろくもなんともなかったこの1日に嫌気がさす。彼女はラインで『なんかごめんね。今日雰囲気悪かったね。』なんか言ってる。
僕は本当にどうでもよかったけど、返信しないのも変だと思い、『こっちこそごめんね。またご飯いこうね。』と思ってもないことを言うと、『うん!楽しみにしてる!』なんて言うもんだから、結局この関係はうだうだと続き、変なタイミングで付き合い、別れ、また友達に女性を紹介してもらうのだろう。
そういったループがなんだか嫌になり、僕はラインで『やっぱりもう終わりにしようか。』と打ち始めた。
だけど、それをすぐに送る勇気もなく、風呂に入ってから送ることにした。

脱衣所で僕のラインが鳴る。もちろん相手は貴子だ。
『本当は今日渡そうと思ってたんだけど、家出るときに忘れちゃったんだ。行きたがってたXジャパンのチケット頑張って取ったんだよ。年末なんだけど一緒に行こうね。』

―黒川洸太郎―

ショート小説コンテスト

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