『上司~Super.B~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト55

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『上司~Super.B~』

オフィスでは、今日もみな忙しそうに働いている。
ある者は取引先に送るメールを作成し、ある者はエクセルに四苦八苦している。
一人の新人が先輩に質問した。
「今度の企画、二つの案を考えたんですけど、どちらにしたらいいでしょうか?」
それに対して先輩が答える
「ああ、それはSuper.Bに聞けばいいよ」
また別の新人が、別の先輩に質問をした。
「この書類はどこで管理したらいいですか?」
「うん、それもSuper.Bに聞いたらいいよ」

新人はモニターに向かって話しかけた。
「Super.B 、A案とB案、どちらの企画がよいでしょうか?」
すると液晶画面から中性的な声が聞こえてきた。
「A案にしましょう」
「わかりました」
「どちらも上手く考えられていますね、この調子で頑張ってください」
もうひとりの新人も話しかけた。
「Super.B〇〇との取引の資料はどこで保管しましょう」
「あなたのデスクの一番下の引き出しに入れて置いてください」
「わかりました」

21世紀になったばかりの頃は、上司への不満を持つ人間が多くいた。
この人が上司でなければ良いのに、とか
あの人が上司だった良いのに、などという意見もたくさんあった。
そこで開発されたのが「Super.B」というプログラムだった。
Super.Bは画面上にいる上司だ。
画面上に映るSuper.Bは的確なアドバイスを人間に与えてくれる。
どの部署も、どの会社も、上司は同じなので、選びようがなく、不満を生まれない。
人間は全員が平社員となり、パワハラなども減少した。
このSuper.Bの登場によって「理想の上司ランキング」もなくなった。
新人は思った「Super.Bのお陰で俺たちは働きやすい環境なんだなあ」

ここは都内のある施設。
数百、数千のパソコンが一つの部屋に置かれている。
パソコンの数だけシステムエンジニアの人間がならび、Super.Bの頭脳を管理していた。
ここでもみんなが平社員だったが…
「あの資料はどこにあるんだ?」
「〇〇社のSuper.Bが起動していなくて社内は混乱しているようだぞ!」
「うるさい、こっちも忙しいんだ。よそに聞いてくれ!」
「こんなにも大きな仕事をしているのに、誰も褒めてくれないのか」
エンジニアの人間たちにもSuper.Bが必要だったのかもしれない…

―白川湊太郎―

ショート小説コンテスト

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