『プリン~甘くない~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト56

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『プリン~甘くない~』

 ぷるんとしていない、そんなプリンが好き。
 ケーキのような、そんな……。
 そして、甘すぎない、少しだけ甘い……。
 そこに、ほろ苦いカラメルソースを絡めて。
「どう?」
 笑って貴方(きほう)に渡すプリンには、またちょっと隠し味を。
 それに気づいた貴方は私に言う。
「君のそういうところ、嫌いじゃあないよ」
「気づいたの」
「僕はずっと君といるからね」
 プリンをすくって、貴方は私の口に運ぶ。
「たまには、こういう終わりも良いだろう?」
「そうね」
 クスッと笑って、私はそれを食べた。

 君のプリンは、他よりも苦い。
 甘味というには、苦いのである。
 なぜ苦いのか、僕は気になり尋ねると「甘いのは他で充分」と君は笑う。
「貴方は苦いのはお嫌いかしら?」
「いや、僕は好きだよ」
 甘いよりも苦い。辛い。
 そういうものが好きだ。
「君は好き嫌いはなさそうだ」
「そんなことないわ。私にも好き嫌いはある」
「そうかい?」
「ええ」
 君の細くて長い指が僕の口に入る。
「甘ったるいものは嫌い。刺激的な味が大好物」
「そうか」
 僕は笑って君の指を噛む。
「そんな君に僕はピッタリかな?」
「ええ、とっても」
 君は嬉しそうに笑う。
 そして、僕にプリンを渡す。
「今日はいつもより違うの」
「そのようだ」
「何が違うか、当ててみて」
 君から渡されたプリンを見て、僕は気づく。
――ああ、そうか。
 そっとスプーンでプリンをすくい、君の口に運ぶ。
「たまには、こういう終わりも良いだろう?」
「そうね」
 クスッと笑って、君はそれを食べる。
 甘くて苦い。
 ほんの少し辛い。
「君が僕より息絶えるなんて、珍しいな」
 君はいつも僕の次に死ぬから。
 たまには、君が先に死ぬのも良いだろう?

―緑川凛太郎―

ショート小説コンテスト

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