『プリン~上辺~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト56

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『プリン~上辺~』

市販のプラスチック容器のプリンを白いお皿に移した。
黄色いプリンの上部にはカラメルソースがかけられている。
「せーの」
『いただきます』
娘の楓花とのおやつの時間だ。4歳の娘には一人分のプリンはまだ多すぎるので、いつも二人で分けている。
今から食べ始める、というところで楓花が不思議なことを口にした。

「ぷりんのおいしいところもらうね」
「ん?」
意味が分からない私は行動を見守ることにした。
すると彼女は小さな手でスプーンを持ち、プリンの上にかけられたカラメルソースを掬って口の中へ運んでいった。
「そこがプリンの美味しいところ?」
「そうだよ」
(んん?)
当たり前のように答える娘に驚いた。
たしかにカラメルソースはほとんどのプリンにかけられているけど……
そもそもプリンは牛乳と砂糖と卵を加熱してから凝固させて作られた洋菓子のこと。対してカラメルソースはそのオマケだ。
どうしてカラメルソースをプリンの一部(いや、彼女にとってはプリンのメインと言っても過言ではない)になってしまったのだろうか。
今まで私が市販のカラメルソース付きのプリンばかりをおやつに出していたからだろうか。

「おいしいところ、なくなった……」
色々と考えているうちに、カラメルソースは全て食べられてしまい、お皿にはスプーンで削られた後の黄色いプリンの本体が残されていた。
「上手に食べたねえ」
私は咄嗟に娘のことを褒めていた。
褒めること自体は悪くないが、本当に言うべきことは他にもあった。
「楓花、その美味しいところはね、プリンじゃないの」
「ええーっ」
「この黄色いところがプリンなの。楓花が食べたところはカラメルソースって言うの」
「そうなんだ…」
現実を知った娘はなんだか寂しそうにしていた。
上のカラメルソースが食べられてしまったプリンはどこか地味で、私は本当にカラメルソースが「プリンの美味しいところ」なのかも知れないとちょっとだけ思った。

―白川湊太郎―

ショート小説コンテスト

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