『上司〜ボトルネック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト55

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『上司〜ボトルネック〜』

僕の上司の課長が、部長に怒られているのを僕は横目でみている。
どうも資料の数字が違っていたようで、そんなの「すいませんでした。すぐ直します」で済む話なのに部長お得意の粘着質のある喋り方が課長を追い詰める。
部下の立場からして直属の上司が追い詰められてるのは少し居心地が悪い。その後機嫌が悪くなるのは当たり前だし、すぐに資料やメールのチェックをしてもらいにくくなる。
自分が怒られてるのを部下はどう見てるんだろう?なんて課長の立場になり自分も考えたりすると大変心苦しい。

僕のデスクにも部長の決済をもらわなければならない書類がたまる。だけどどうにも苦手なあの人に近寄りたくもない。
「部長様ご確認御願いします。」という付箋を付けて、居ない間に置いておくのが得策だ。
そう思ってるのは僕だけではなく、付箋付の書類は部長の居ない隙にデスクに積み上がる。
彼はそれを処理しながら誰に嫌味を言おうか探っている。

社内の業務効率化において部内に応援要請がきている。
だが他部署の人からも、うちの部長に近寄りたくないのか、部長を通さず課長に一報を入れるようになっている。
課長も人が良いのか、それ以外に術が無いのか、全てを聞き入れ、部長に話し、また怒られている。

社内でも当営業部だけ成績が悪く厄介者扱いされているため、僕たちは肩身が狭い。
全てのボトルネックになっている部長は、上に対しての世渡りが上手く、何故か重宝されている。暇だから読めている経済本のおかげで、それっぽいことを言うのが得意なのだ。

1ヶ月後、課長は一身上の都合で退職した。
善人が損をし図々しい人が得をする社会だ。僕自身も転職を考える。このボトルネックになっている一人の人間のせいで多くの人生が台無しになる。
人も然り。会社も然り。社会も然り。

―黒川洸太郎―

ショート小説コンテスト

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