『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

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『プリン~神々しい黄色~』

嫁が寝静まったのを見計らうと僕はそっとスマホを置いた。
衣擦れの音を気にしながら僕はベッドから立ち上がる。
嫁はいびきをかいて寝ていたので少し安心した。

明日の朝食と称しセブンイレブンの袋を冷蔵庫に入れる習慣は嫁へのフェイクで、来るべき日に備えての準備だった。そして今日がその時、僕は冷蔵庫を開け、セブンイレブンの袋からプリンを取りだした。
そっと冷蔵庫を閉めると、僕は音がギシギシ鳴る床を避けてトイレへ向かう。そこが一番の安全地帯であり言い訳が通じる場所だった。
トイレの電気を点け、ズボンを履いたまま便座に座るとスプーンが無いことに気づく。
冷蔵庫に戻り袋から取り出すリスクと、このままスプーン無しで食べる方法を同時に考える。

僕はそっと便座から立ち上がり、冷蔵庫に向かう。嫁はぐっすり寝ているようだ。
冷蔵庫をゆっくりと開け、袋のガサガサ音を気にしつつ僕はプラスチックのスプーンを取りだす。
ゆっくりと冷蔵庫を閉め、音がギシギシ鳴る床を避けてトイレへ向かう。
トイレのドアは開けたままにしておいた。僕はドアを閉めそっと便座に座った。

プリンの蓋を開け、プラスチックのスプーンを突き刺した瞬感、僕の緊張の糸もほどけるようだった。
神々しいぐらいに光る黄色を一口食べる。なんとも美味しい甘さである。
キャラメルまでスプーンが届くと、ジュワッっと茶色が黄色に混ざり、苦さと甘さの加減がなんとも言えない。
僕は明日のことや、来週のこと。嫌なことも全てを忘れ、プリンに集中していた。

出してもいないのにトイレットペーパーを2・3回転させ水を流して電気を消した。
ゆっくりと冷蔵庫に戻り、セブンイレブンの袋を取り出し、そこにゴミを入れてからゴミ箱に捨てる。
ここまでが終わると僕は天に昇る勢いで、衣擦れも気にせず、音の鳴る床を踏みベッドに戻った。

嫁は半目を開けている。

―黒川洸太郎―

ショート小説コンテスト

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