『カーテン~準備が大事~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト58

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『カーテン~準備が大事~』

「カーテンってこんな高いの?」全てはこの一言から始まった。
「まぁまぁするねー。」と彼女は言う。相変わらずユルい感じだ。
「ちょっと待って。あの家って窓何個あるんやった?」僕は部屋の中を順繰り思い浮かべながら数えている。
「小さいのが8つと、大きいのが6つだよ。」僕は驚くが、意外としっかりしている彼女にこれからの安心感を覚えていた。
「じゃあこの一番安い6000円のを平均にしても6000円かける14で・・・」僕が暗算をしていると
「84000円かな。」と彼女は言う。僕はまた驚きながらも「84000円かぁ。」と知っていた振りを装っている。

「もうちょっと安いとこ探さへん?」僕がそう打診すると、
「昨日ネットで見てたけど大体これくらいはするよ。」彼女が先に調べていた事も、その時はじめて知り僕は恥ずかしい気持ちになった。
「そうかぁじゃあこれにしようかぁ。」新しい家を買いお金に対してシビアになっていた頃だったので気乗りはしてなかった。
「この中に入れる日除けの白いカーテンも一緒に買わないと。」僕は思わず値段を観る。3980円・・・。
「そうかぁ。そうやんな。4000円×14でなんぼやろ?」
「56000円だよ。合わせて14万円」すぐに計算が出来る彼女に改めて驚いた。同時にそんなにカーテンってするのかという驚きの方が勝っていた。

「これもやっぱりこんなもんなんかな?」僕が良く分からない投げかけをすると、
「大体平均はこんなもんだよ。」と彼女が言った。
「日除けだけ買うっていうのはどうなん?」とこれまたトンチンカンな提案をすると、
「え?日除けだけ付けるの?」と返ってきたものだから、
「カーテンいるわなぁ。」と呟く。

「気乗りしてないみたいだね。辞めとく?」と彼女が気を遣ってくれるものだから、
僕は「そうしよかぁ。もうちょっと考えていい?」と甘えると、
「結局これくらいはすると思うよ。」と引き下がらない彼女に対して僕は、
「じゃあどうするん?」と彼女に詰め寄る。
「なんで怒ってるの?」と彼女は言う。
そこから僕たちの間に微妙な空気が流れ、一言も話さなくなった。

カーテンを買うのか買わないのか、どう彼女に言葉をかけるのかかけないのか悩んでいると、
彼女は「もう知らない」と一言残しその場を立ち去ろうとした。
すぐに僕は追いかけて「ごめんて。買おうやカーテン。」と言うと、彼女は黙って店の外へ出て行こうとした。
僕は店の外で彼女の手を掴み、「ごめんて。」と情けない声を出す。

「これから色んな決断をしなくちゃいけないのに凄く心配になっちゃった。」彼女が言うセリフはとても正論で僕の胸に突き刺さる。
「ごめん。カーテン買って帰ろう。悪かったよ。」と僕がトンチンカンなことをまた言うと、
「もう無理かもね。帰ろう。」と彼女は言った。

カーテンを買うだけで、こうも色んな運命の選択肢があるということを僕は知らなかった。
僕はさまざまな面で用意が足りない。言葉一つの大切さも知らない。深く反省しなければならない。

―黒川洸太郎―

ショート小説コンテスト

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