『挨拶~ロボット~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト63

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『挨拶~ロボット~』

 ある日のこと、職場に行くと見知らぬ金属の物体が置かれていた。
「挨拶ロボットだよ」と社長は言う。
 ただただ手作りのお弁当を作る会社なのに、なんでロボット?
「挨拶してくれると、嬉しいじゃん」とのこと。
 前々から変わり者で、変な部品をいじってはいるなあ、と思っていたけれど
「挨拶一つで職場の雰囲気が良くなると思うんだ」
 それをこの物体に託したというわけか。
うちの職場、確かに流れ作業だから、それほど仲良く仕事するって感じはないけれど。
機械に頼るべき程のことなのかな。
職員用の入口そばに置かれたその物体。
私はおかしな部分に気がついた。
「社長、まだこれに挨拶されてないんですけど」
 私が目の前を何度往復しても、うんともすんとも言葉が発せられない。
「これね、最初は通り過ぎる方向を察知して『おはようございます』とか『お疲れさまでした』って言ってたんだけど……興味を持って立ち止まるスタッフにどう対応したら良いかわからなくなったのかエラーしたみたい」
 社長は笑いながら機械の頭を叩いている。
 結局挨拶できてないじゃないか、私は呆れて更衣室に向かった。

 扉を開けると中はいつも以上に活気があった。
「あっ、あなたも機械見た? 社長はロボットって言ってるけど、ただのガラクタよねえ」
「ほんとほんと。あの人、ちょっと変わっているわ」
 社長の愚痴ではあるけれど、みんななんだか楽しそう。
 あのロボット、挨拶はできなかったけど、社長の目的は果たせたみたいだった。

―白川湊太郎―

ショート小説コンテスト

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