黒川洸太郎の小説 一覧

『切符~嵌め方~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~嵌め方~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト59

『切符~嵌め方~』 切符の端を折り曲げて改札に通すとどうなるかを僕は知っていた。 高校生の頃、友達と興味本位で試したことがあるからだ。 僕はこの知識を誰に教えるわけでもなく、何かに役に立つなんて思ってもいなかった。 だが、こいつだけは許せない。こんなに図々しい奴が平気で生きてる状況に僕は腹を立てていた。 まずそいつは降りる人が優先という暗黙のルールを破り、肩をぶつけながらも車内に入ってきた。 図体がでかく、態度もでかい。ずっとそうやって生きてきたのだろう。 電車内で...

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『カーテン~準備が大事~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~準備が大事~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~準備が大事~』 「カーテンってこんな高いの?」全てはこの一言から始まった。 「まぁまぁするねー。」と彼女は言う。相変わらずユルい感じだ。 「ちょっと待って。あの家って窓何個あるんやった?」僕は部屋の中を順繰り思い浮かべながら数えている。 「小さいのが8つと、大きいのが6つだよ。」僕は驚くが、意外としっかりしている彼女にこれからの安心感を覚えていた。 「じゃあこの一番安い6000円のを平均にしても6000円かける14で・・・」僕が暗算をしていると 「84000円...

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『涙~ちゃんとした涙~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~ちゃんとした涙~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~ちゃんとした涙~』 いつも笑っている彼女が涙を流していた。 僕はどうしたの?と聞くと彼女はなんでもないよと言う。 僕は「なんでもないことない。泣いてるじゃないか。」と問い詰めることが優しさなのか 「いつでも相談にのるからね」と問い詰めないことが優しさなのかを迷い、後者を選択した。 後日彼女はいつものように笑っていた。僕は少し安心して遠くから彼女を見ていた。 すると後方から背の高い男性がやってきて親しげに会話をする。僕は少し嫌な気持ちになった。 知り合いの知...

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『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』 嫁が寝静まったのを見計らうと僕はそっとスマホを置いた。 衣擦れの音を気にしながら僕はベッドから立ち上がる。 嫁はいびきをかいて寝ていたので少し安心した。 明日の朝食と称しセブンイレブンの袋を冷蔵庫に入れる習慣は嫁へのフェイクで、来るべき日に備えての準備だった。そして今日がその時、僕は冷蔵庫を開け、セブンイレブンの袋からプリンを取りだした。 そっと冷蔵庫を閉めると、僕は音がギシギシ鳴る床を避けてトイレへ向かう。そこが一番の安全地帯であり言い訳が...

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『上司〜ボトルネック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト55

『上司〜ボトルネック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト55

『上司〜ボトルネック〜』 僕の上司の課長が、部長に怒られているのを僕は横目でみている。 どうも資料の数字が違っていたようで、そんなの「すいませんでした。すぐ直します」で済む話なのに部長お得意の粘着質のある喋り方が課長を追い詰める。 部下の立場からして直属の上司が追い詰められてるのは少し居心地が悪い。その後機嫌が悪くなるのは当たり前だし、すぐに資料やメールのチェックをしてもらいにくくなる。 自分が怒られてるのを部下はどう見てるんだろう?なんて課長の立場になり自分も考えたりすると...

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『電柱~シアトル~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~シアトル~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~シアトル~』 ホームステイ先に帰るバスで日本人っぽい女性を見つけた。背が高くショートカットで目が大きかった。 大体歳も同い年ぐらいだろう。韓国人や台湾人の可能性もあるが化粧の仕方や眉毛の形が日本人だと思った。 席が空いているバス内で、僕は座っており、彼女は立っていた。大きく横揺れのするバスなのに不思議に思った。 海外だからなのか、もう二度と会うことが無いという思いからか、僕は知らず知らず彼女に話しかけていた。 「どうして座らないの?」 彼女は僕の方を見てキョトンと...

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『みかん~リスクとリターン~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~リスクとリターン~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~リスクとリターン~』 机の上にはパソコンのディスプレイが6台並んでおり、キーボードとマウスと少しの食料を備蓄している。 株価が下がったところを買う逆ばりスタイルでここ5年は稼げてきたが、最近は資産が目減りしている。 インターネットカジノのサイトに行っては細かい勝利を積み重ね、気が大きくなってきたところで負けている。 これの繰り返しだ。 フリーの投資家になった5年前、世の中は空前の株ブームだった。 僕は当時サラリーマンをやりつつ片手間で投資していたら月に100...

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『プレゼント~縛り~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~縛り~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~縛り~』 『今日ヒマな人~?』 『すまん。日曜出勤なんだ汗』 『俺も』 『私は今日から旅行だよ~』 「見てよこのグループライン」とスマホを見せてきたのは、1ヶ月前に友人の紹介で知り合った看護師の貴子だ。 「これがどうしたの?」と率直な疑問をぶつけると、貴子は少し拗ねたような顔をした。分かってくれないんだと残念がっているのだろうか。 自分も彼女が欲しかった時期なので、貴子でもまぁそうゆう流れになればそれはそれで良いかな。というレベルで僕は貴子に少ながらず...

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『将棋~空間認識~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~空間認識~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト51

先生が黒板に何かを書いている。僕は上の空でそれを眺めていると、数手良い手が思いついた。 国語のノートだったが関係ない。この手を記録するため、すぐにノートに書いてみた。 完璧な穴熊だ。一人それを見てニヤニヤしていると先生が横にいた。 「君は何を書いてるんだ?」と詰問してきたので、 「すいません。落書きです。」と応えると 「消しなさい。」と言われたので仕方なく消した。それから僕は机に直接書くことになる。 友達は僕の机を見て気持ち悪がった。その机はいろいろな駒の形を無数に記録し...

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『暖炉~ルービックキューブ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~ルービックキューブ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~ルービックキューブ~』 ホームパーティーという名のもとで親に連れて行かれた場所はこの街で一番の豪邸だった。 親以外は全く知らない環境で緊張していた僕に対し、 親は「ほら、お友達がいっぱいいるよ。遊んでおいで。」とだけ言い放ち、知り合いらしいおばさんと談笑する。 確かに僕以外に10人程子どもがいて、彼らはお互いを知っているのか知っていないのか隅の方で余所余所しく遊んでいた。 僕は何か一人で遊べるものがないかを探しルービックキューブが転がっていたので、これはラッキー...

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