ショート小説 一覧

『札束〜それ、いくら?〜』桃川涼太郎−ショート小説コンテスト②−

『札束〜それ、いくら?〜』桃川涼太郎−ショート小説コンテスト②−

『札束〜それ、いくら?〜』 僕の彼女は天然だ、と言えば可愛らしいが、要は世間知らずなのだと、最近は隠さず言わせてもらう。旅館の部屋の隅に置かれた小さな冷蔵庫を見て、「洗濯機があるなんてさすがは旅館だね、ホテルにはないもんね」と笑う彼女は、宿泊施設の冷蔵庫はテレビ台や鏡台の下にはめ込んであるものしか知らない。カラオケやファミレスのドリンクバーでも、グラスを真ん中に置きながら、左側のボタンを迷うことなく押して溢してしまう。「あれ、おかしいね。構造的にはここを押すと、真ん中から出そう...

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『札束〜正しい使い方〜』白川湊太郎−ショート小説コンテスト②−

『札束〜正しい使い方〜』白川湊太郎−ショート小説コンテスト②−

『札束〜正しい使い方〜』 目を開けても辺りは薄暗くてほとんど何も見えなかった。部屋の中は静かだった。 頭がクラクラする。私は自宅へ帰る途中で誰かに襲われたのだった。 意識がなくなる直前、ガーゼを持った白い手袋が視野に入ったきたことを思い出す。 早くここから出ようと思い、自分が閉じ込められてる場所がどこなのか調べはじめた。 私は左手を壁に着けながら時計回りに歩いた。 おおよそ10m四方の部屋の壁には、いくつもの扉がつけられていた。 もう一つ分かったことがあった。 ...

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『札束〜刺激との代償〜』黒川洸太郎−ショート小説コンテスト②−

『札束〜刺激との代償〜』黒川洸太郎−ショート小説コンテスト②−

『札束〜刺激との代償〜』 夏の夜はブルーハーツを唄いたくなる。そんなどうでもいい話を僕はしているが、幸雄はいつも通り聞いてるのか聞いてないのか分からない表情だった。長い夜の長い一本道の下り坂をゆっくり歩いていた。 幸雄が満を持して言った言葉から全ては始まった。 「あっちゃいけない金ってのが世の中にはあると思うか?」 昔から良くない話をするときは省略して話す癖がある。幸雄とは中学からの親友だ。 「なにかしらあるんじゃねぇの。昔どっかの竹やぶで一億円見つかったこともあっただ...

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『白のセーター』白川湊太郎〜ショート小説コンテスト①〜

『白のセーター』白川湊太郎〜ショート小説コンテスト①〜

【白のセーター】 白、みなさんはこの色からどのような連想をしますか? 清潔、清純、純粋、おそらく良いイメージをお持ちの方が多いと思います。 色の力は不思議で、服やアクセサリーなど白い物を身に着けている方は、それだけで好感度が上がるのです。 私はその中でも白のセーターを着ている男性に惹かれます。 白には清潔感があります。それだけではありません。毛糸という素材は身体的な暖かさだけでなく、その見た目から優しさや心の暖かさが感じられ、それを見ている周りの人にも良い印象を与えることが...

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『白のセーター』黒川洸太郎〜ショート小説コンテスト①〜

『白のセーター』黒川洸太郎〜ショート小説コンテスト①〜

【白のセーター】 彼女はベージュのセーターを着ていた。僕は何も尋ねない。 僕は白のセーターを着ている。数日前に彼女と約束したんだ。 「白のセーターで合わせよう。」僕が言ったサブい提案に彼女はノリノリだった。 少しくすんだ彼女のベージュのセーターはとても大人っぽく、少し汚れたこの世界にうまく馴染んでいた。 その点、僕の白いセーターはなんだか世間知らずだ。急に周りの目線が気になりはじめた。グレーな色とギーギーと雑音が混じる空間に、僕だけが異彩を放つ。 ヒル...

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