ショート小説 一覧

『カーテン~内緒で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~内緒で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~内緒で~』 何だかんだで、僕と川中さんは互いの家を行き来する仲になった。  事の発端は、僕があまりにも色々なことができないからなのだけれど。  川中さんは、そんな僕を「仕方ないですね」とため息混じりに言い、優しく家に入れてくれる。  今日は珍しく川中さんから「家に来て」と言われ、少しルンラルンラしながら川中さんの家に向かっている。  僕の家から、歩いて十五分くらい。  走ったら五分。 「スキップしながら行くか」  僕はスキップしながら川中さんの家の前まで行...

記事を読む

『カーテン~買換~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~買換~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~買換~』 何だかんだで、僕と川中さんは互いの家を行き来する仲になった。  事の発端は、僕があまりにも色々なことができないからなのだけれど。  川中さんは、そんな僕を「仕方ないですね」とため息混じりに言い、優しく家に入れてくれる。  今日は珍しく川中さんから「家に来て」と言われ、少しルンラルンラしながら川中さんの家に向かっている。  僕の家から、歩いて十五分くらい。  走ったら五分。 「スキップしながら行くか」  僕はスキップしながら川中さんの家の前まで行き...

記事を読む

『涙~悲鳴~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~悲鳴~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~悲鳴~』  わたしは話をすることができない。  口から出るのは嗚咽に似た何かだ。  それに気づいてからは、わたしは口を利かないようにした。  母には「どうして、口を利かないの」と言われるが、それを答えることは口ではできない。  母はわたしが普通の子でいるように言った。  ゆえに、話をすることができないという異常は許されないのである。  わたしは誤魔化すように笑って頷く。 『本当は、たくさん話をしたいんだ。だけど、口から言葉が出てこないんだよ。これをあなたに知られ...

記事を読む

『涙~採取~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~採取~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~採取~』 恋人に振られて、大きなビルの前で泣いている私。 声を押し殺しながらただただ涙を流していました。 ほとんどの人はこちらに気づくこともなく通りすぎていき、 たまに気づいた人でさえも知らぬフリをしています。 まあ、優しい誰かに話しかけられても「構わないでください」としか答えるつもりでしたが...... そんな私の前に一人の男性が現れました。 どこかのパーティの帰りでしょうか、恐らくは歳は40過ぎ。 素敵なタキシードを着こなして、右手にはステッキを持っています...

記事を読む

『涙~ちゃんとした涙~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~ちゃんとした涙~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~ちゃんとした涙~』 いつも笑っている彼女が涙を流していた。 僕はどうしたの?と聞くと彼女はなんでもないよと言う。 僕は「なんでもないことない。泣いてるじゃないか。」と問い詰めることが優しさなのか 「いつでも相談にのるからね」と問い詰めないことが優しさなのかを迷い、後者を選択した。 後日彼女はいつものように笑っていた。僕は少し安心して遠くから彼女を見ていた。 すると後方から背の高い男性がやってきて親しげに会話をする。僕は少し嫌な気持ちになった。 知り合いの知...

記事を読む

『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』 嫁が寝静まったのを見計らうと僕はそっとスマホを置いた。 衣擦れの音を気にしながら僕はベッドから立ち上がる。 嫁はいびきをかいて寝ていたので少し安心した。 明日の朝食と称しセブンイレブンの袋を冷蔵庫に入れる習慣は嫁へのフェイクで、来るべき日に備えての準備だった。そして今日がその時、僕は冷蔵庫を開け、セブンイレブンの袋からプリンを取りだした。 そっと冷蔵庫を閉めると、僕は音がギシギシ鳴る床を避けてトイレへ向かう。そこが一番の安全地帯であり言い訳が...

記事を読む

『プリン~甘くない~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~甘くない~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~甘くない~』 ∫  ぷるんとしていない、そんなプリンが好き。  ケーキのような、そんな……。  そして、甘すぎない、少しだけ甘い……。  そこに、ほろ苦いカラメルソースを絡めて。 「どう?」  笑って貴方(きほう)に渡すプリンには、またちょっと隠し味を。  それに気づいた貴方は私に言う。 「君のそういうところ、嫌いじゃあないよ」 「気づいたの」 「僕はずっと君といるからね」  プリンをすくって、貴方は私の口に運ぶ。 「たまには、こういう終わりも...

記事を読む

『プリン~上辺~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~上辺~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~上辺~』 市販のプラスチック容器のプリンを白いお皿に移した。 黄色いプリンの上部にはカラメルソースがかけられている。 「せーの」 『いただきます』 娘の楓花とのおやつの時間だ。4歳の娘には一人分のプリンはまだ多すぎるので、いつも二人で分けている。 今から食べ始める、というところで楓花が不思議なことを口にした。 「ぷりんのおいしいところもらうね」 「ん?」 意味が分からない私は行動を見守ることにした。 すると彼女は小さな手でスプーンを持ち、プリンの上...

記事を読む

『上司〜ボトルネック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト55

『上司〜ボトルネック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト55

『上司〜ボトルネック〜』 僕の上司の課長が、部長に怒られているのを僕は横目でみている。 どうも資料の数字が違っていたようで、そんなの「すいませんでした。すぐ直します」で済む話なのに部長お得意の粘着質のある喋り方が課長を追い詰める。 部下の立場からして直属の上司が追い詰められてるのは少し居心地が悪い。その後機嫌が悪くなるのは当たり前だし、すぐに資料やメールのチェックをしてもらいにくくなる。 自分が怒られてるのを部下はどう見てるんだろう?なんて課長の立場になり自分も考えたりすると...

記事を読む

『上司~Super.B~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~Super.B~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~Super.B~』 オフィスでは、今日もみな忙しそうに働いている。 ある者は取引先に送るメールを作成し、ある者はエクセルに四苦八苦している。 一人の新人が先輩に質問した。 「今度の企画、二つの案を考えたんですけど、どちらにしたらいいでしょうか?」 それに対して先輩が答える 「ああ、それはSuper.Bに聞けばいいよ」 また別の新人が、別の先輩に質問をした。 「この書類はどこで管理したらいいですか?」 「うん、それもSuper.Bに聞いたらいいよ」 新...

記事を読む

1 2 3 4 5 18