ショート小説 一覧

『上司~涙酒~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~涙酒~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~涙酒~』  俺の住む町は、小さい町だけれど居酒屋などが多くある。  その中で、一番安心するのが大衆居酒屋で、今日は何となく一人で飲みに来た。  のだけれど。  なぜか、飲んでる途中で同僚たちが来て、結果いつもの飲み会になった。 「なぜ来たのかについて、説明はしてくれないんだな…」 「神呪(かみの)さんだって、俺が一人で飲んでると来るじゃんか」 「それは、タダで飲めるから」 「最低だなあ、相変わらず」  けど、と同僚――と言うか社長は言う。 「それが君なんだ...

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『電柱~シアトル~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~シアトル~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~シアトル~』 ホームステイ先に帰るバスで日本人っぽい女性を見つけた。背が高くショートカットで目が大きかった。 大体歳も同い年ぐらいだろう。韓国人や台湾人の可能性もあるが化粧の仕方や眉毛の形が日本人だと思った。 席が空いているバス内で、僕は座っており、彼女は立っていた。大きく横揺れのするバスなのに不思議に思った。 海外だからなのか、もう二度と会うことが無いという思いからか、僕は知らず知らず彼女に話しかけていた。 「どうして座らないの?」 彼女は僕の方を見てキョトンと...

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『電柱~チャンス~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~チャンス~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~チャンス~』 憧れの彼女と並んで帰れるだけでも幸運なことだった。 「話したいことがあるんだ、一緒に帰らない?」 そこまでは言えた。しかしその後が大変だった。 「寒いね」 「うん」 「それで、話ってなにかな?」 まだ言い出す勇気はなかった。何かきっかけが欲しかった。 辺りを見渡し、きっかけを探す、とすぐ近くに電柱が見えた。 「あの、電柱に着いたら話すよ」 「……わかった」 視界に入る距離なんてあっと言う間に辿り着いてしまう。 しかし、俺はまだ言い出す勇気...

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『電柱~のろい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~のろい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~のろい~』 「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ、よーっつ」  弟の美鶴(みつる)は、僕と手を繋ぎながら一本ずつ電柱を数える。  僕はそれをうるさいな、と思いながらも一応は聞いてあげている。  美鶴は十まで数えたあと、数えなくなる。  わざとなのか、数えられないのか。  僕にはわからない。  気にはなっているのだ。  毎日毎日、家から学校や病院、スーパーなどまでの間の電柱を数えていて。  いつも十から先は数えなくて。 「なあ、美鶴」  僕は美鶴に訊く。 「何...

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『みかん~リスクとリターン~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~リスクとリターン~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~リスクとリターン~』 机の上にはパソコンのディスプレイが6台並んでおり、キーボードとマウスと少しの食料を備蓄している。 株価が下がったところを買う逆ばりスタイルでここ5年は稼げてきたが、最近は資産が目減りしている。 インターネットカジノのサイトに行っては細かい勝利を積み重ね、気が大きくなってきたところで負けている。 これの繰り返しだ。 フリーの投資家になった5年前、世の中は空前の株ブームだった。 僕は当時サラリーマンをやりつつ片手間で投資していたら月に100...

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『みかん~生き方~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~生き方~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~生き方~』 みかんにとっての晴れ舞台ってどこなんだろう。 そんなことを考えながら箱詰めされた私は出荷された。 「腐らないと良いけどね」 近くのみかんが心配そうに話しかけてきた。 私は、そうだね、としか答えることができなかった。 出荷された私はスーパーに並べられた。 どうやら一年が終わりを迎える時期らしく、スーパーはたくさんの人で溢れていた。 「あら、あなたはどちらの出身なの?」 声のした方を確認すると、隣の売り場のみかんが話しかけてきた。 「熊本で...

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『みかん~甘くて酸っぱい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~甘くて酸っぱい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~甘くて酸っぱい~』  愁哉(しゅうや)は、この時期になると炬燵(こたつ)に入り、蜜柑(みかん)を食べる。相変わらず裸族だから、全裸で、だけど。  そんな愁哉を僕は見ながら、隙を見て蜜柑をいただく。  愁哉はいつも蜜柑の皮を剥く前、蜜柑を揉んでいる。そして、白い筋のようなものを綺麗に取り、一粒ずつ美味しそうに食べる。 「その白いのは、美味しくないの?」  愁哉の剥いた蜜柑を食べながら訊くと、愁哉は「食っていやがる」とため息を吐き、僕を見る。 「その白いのは、何とな...

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『プレゼント~縛り~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~縛り~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~縛り~』 『今日ヒマな人~?』 『すまん。日曜出勤なんだ汗』 『俺も』 『私は今日から旅行だよ~』 「見てよこのグループライン」とスマホを見せてきたのは、1ヶ月前に友人の紹介で知り合った看護師の貴子だ。 「これがどうしたの?」と率直な疑問をぶつけると、貴子は少し拗ねたような顔をした。分かってくれないんだと残念がっているのだろうか。 自分も彼女が欲しかった時期なので、貴子でもまぁそうゆう流れになればそれはそれで良いかな。というレベルで僕は貴子に少ながらず...

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『プレゼント~Merry X’mas~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~Merry X’mas~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~Merry X'mas~』  終業式の日。僕は、佐野(さの)さんに「今夜、空いてますか?」と訊かれ、空いているです、と頷いた。すると、佐野さんは笑って「じゃ、今夜は俺に時間をください」と言った。  そして、夜というか夕方。  今日は十二月二十四日。  一般的には恋人同士がイルミネーションを見たり、家族がサンタクロースの話をしていたりする日なわけで。  僕は地元―藁谷町(わらやのまち)駅の駅前で、佐野さんを待っていた。  真冬だということもあり、とてつもな...

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『プレゼント~あ、た、し~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~あ、た、し~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~あ、た、し~』 「これやってみたいんだー」 実花が嬉しそうに見せてきたananの表紙には『プレゼントはあ、た、し♡を実際にやる方法』と見出しが。どうやらマガジンハウス社は頭がおかしくなったようだ。 雑誌の中身を確認すると「自分自身をプレゼントして許される女の子は?」「自分自身をラッピングする方法」などが書かれてある。これが大真面目なんだから恐ろしい世の中だ。 「ね、だから由利に助けて欲しいの」 彼女は自分自身にリボンを結びつけたいらしい。東急ハンズに勤務...

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