ショート小説 一覧

『ショベルカー~壊して欲しい~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト48

『ショベルカー~壊して欲しい~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト48

『ショベルカー~壊して欲しい~』 昼休み長江が俺のズボンをズラすとパンツも一緒に脱げた。下半身丸出しの状態を数人の女子に見られた。自分がこんなことをされるという事実がダサすぎて、女子からもそう思われたと思うと、顔が真っ赤になった。 長江が平謝りをしているが、僕は何も言わなかった。こうゆうアホにはノーリアクションで対応するに限る。変質者と同じだ。目で殺すのが一番効果的だと思ってる。 かと言って俺の腹の中の怒りが収まった訳でもなく、午後の授業から長江に仕返しする方法を考える。 ...

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『くじら~給食~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~給食~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~給食~』  全くもって、意味のわからないことが起きていた。  その日というか今日、俺は仲良しの左坤優馬(さこんゆうま)くんと、佐々塚優(ささづかゆう)くんと遊ぶ約束をしていた。  場所は佐々塚くんの家だ。  彼は先日まで一人暮しだったが、最近は恋人と同棲していると言う。  その話を聞いて、俺は普通に「迷惑ではないか?」と言った。すると「平気」と彼は答えた。  だから、左坤くんと一緒に彼の家に行ったのだが。 「やあ、兄貴! 優馬くん!」  佐々塚くんはとてつも...

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『くじら~存在証明~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~存在証明~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~存在証明~』 親も死に家族も持っていない。 誰にも迷惑をかけず、社会においても黙々と波風立てずに過ごしてきた僕が、交通事故にあった。 医者の話によると僕の足はもう使い物にならないらしい。 入院3日目までは『なんで僕が』という感情に押しつぶされていたが、その考えももう面倒になった。 何を持って『生きる』って言うんだろう。そんな哲学めいたことを一人悶々と考えた。 古い病院の天井には無数のシミが出来ていて、僕はそのシミとシミの境界線を視線でなぞり続けた。 この前...

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『くじら~貢献~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~貢献~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト47

『くじら~貢献~』 男の人と食事に来ていた。 「くじらって美味しいんだね」 「そうだね」 「君のことが好きだ、愛している」 「…ありがとう」 「どうして応えてくれないんだ」 彼はすごく困って顔をしている。 「あなたは私のために何をしてくれるの?」 「愛の言葉を伝えるし、素敵なプレゼントもあげる。美味しい食事も食べさせてあげる」 私も困った顔をしていた。 食事の度に思うことがあった。 「私はこんなにもたくさんの命をもらってもいいのだろうか」 昼食にサラダ...

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『ジャンクション~幸福の連鎖~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~幸福の連鎖~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~幸福の連鎖~』 補修が入り5限の授業が終わる。ふと見上げると通り雨がざぁざぁと降っていた。 僕はこの前サークルの歓迎会の際、ビンゴの景品で当たった60cmの折りたたみ傘をたまたま鞄に入れていた。 傘を差し、連れも先に帰っていたため仕方なく一人で駅まで歩く。 耳がさみしいのでIphoneで音楽をかけBluetoothをオンにする。 うるさい音楽を聴きたくなかったので80年代のフォークでもかける。 傘を買っているのか購買には凄い列が出来ている。 校...

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『ジャンクション~見えない~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~見えない~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~見えない~』 トラックの運転手というのは退屈だ。 毎日毎日同じルートを行ったり来たり。ほとんどの時間は単調な高速道路を走っている。 この日もいつもと同じルートの高速道路を走っていたが、ある地点で視界に一羽のカラスが飛び込んで来た。 「うわっ、びっくりした……」 奴は私の元を離れるとすぐに舞い上がっていった。その先にはこの道路と立体交差したもう一方の道路があった。ここが道路と道路が立体交差するジャンクションであることをすっかり忘れていた。見上げたことで上にも...

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『ジャンクション~岐路~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~岐路~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト46

『ジャンクション~岐路~』  高校を卒業して、ほんの少し経った時。  私は親から卒業祝として、中古車を買ってもらった。  トラックが良かったけれど、まだ大型の免許を取っていなかったから、取ったら買うことにした。  中古車に乗り、母校である藁谷町(わらやのまち)第二高等学校に向かい、恩師である佐野(さの)先生に会いに行った。  駐車場に止め、いざ行こうとすると前から佐野先生が歩いてきた。 「佐野先生っ」  私が声をかけると、先生はニコッと笑い「おう」と言う。 「どうした...

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『時間~口笛親父~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~口笛親父~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~口笛親父~』 親父はよく口笛を吹く人だった。 母に怒られても、愛犬が死んでも。 そんな彼を僕は軽蔑していたが、親父が死に、僕がちょうどその頃の親父の年齢になった時、僕は口笛をよく吹いていた。 駅のホームにて、列の先頭で電車を待っていると、線路が手招きしているように見える。 ホームの白線が現実と死との境目のようで、これを何かのはずみで乗り越えてしまうと一直線でこの現実がなくなる。 それも良いかなと思うときもあるが、僕は思いとどまるように口笛を吹いてみる。 ...

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『時間~廻り巡る~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~廻り巡る~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~廻り巡る~』  我らが藁谷町(わらやのまち)市は、とても穏やかな町である。  駅は昔ながらというか、他のところではあまり見ない木造駅舎。  ICカードというものは使えない。  電車を使うなら、駅員から切手を直接貰う。  僕の仕事は、それだ。  長いこと、この町の駅員を務めている。 「どれくらいの時が経ったのだろうか」  部屋を出て、ホームのベンチに腰を下ろす。  この町の人たちは、何だかんだで自分に優しい。  一日に一回は必ず顔を出してくれるし、話もしてく...

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『時間~見える~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~見える~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト45

『時間~見える~』 毎月第三土曜日は全校集会が行われる。俺はこの時間がすごく苦痛だ。 ただ座っていれば終わるのだけれど...まだ教室で嫌いな数学の授業を聞いてた方がマシに思えてくる。 ざわつく体育館の中がだんだんと静かになっていく。壇上の校長の存在に気がついたからだ。 「えー、みなさんが静かになるまで約二分かかりました」 腕時計を見ながら話し始める。 「ここには約千人の生徒が集まっています。二分間×千人なので二千分も無駄にしているのです。みなさんは人の時間を奪ってい...

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