ショート小説 一覧

『みかん~生き方~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~生き方~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~生き方~』 みかんにとっての晴れ舞台ってどこなんだろう。 そんなことを考えながら箱詰めされた私は出荷された。 「腐らないと良いけどね」 近くのみかんが心配そうに話しかけてきた。 私は、そうだね、としか答えることができなかった。 出荷された私はスーパーに並べられた。 どうやら一年が終わりを迎える時期らしく、スーパーはたくさんの人で溢れていた。 「あら、あなたはどちらの出身なの?」 声のした方を確認すると、隣の売り場のみかんが話しかけてきた。 「熊本で...

記事を読む

『みかん~甘くて酸っぱい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~甘くて酸っぱい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト53

『みかん~甘くて酸っぱい~』  愁哉(しゅうや)は、この時期になると炬燵(こたつ)に入り、蜜柑(みかん)を食べる。相変わらず裸族だから、全裸で、だけど。  そんな愁哉を僕は見ながら、隙を見て蜜柑をいただく。  愁哉はいつも蜜柑の皮を剥く前、蜜柑を揉んでいる。そして、白い筋のようなものを綺麗に取り、一粒ずつ美味しそうに食べる。 「その白いのは、美味しくないの?」  愁哉の剥いた蜜柑を食べながら訊くと、愁哉は「食っていやがる」とため息を吐き、僕を見る。 「その白いのは、何とな...

記事を読む

『プレゼント~縛り~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~縛り~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~縛り~』 『今日ヒマな人~?』 『すまん。日曜出勤なんだ汗』 『俺も』 『私は今日から旅行だよ~』 「見てよこのグループライン」とスマホを見せてきたのは、1ヶ月前に友人の紹介で知り合った看護師の貴子だ。 「これがどうしたの?」と率直な疑問をぶつけると、貴子は少し拗ねたような顔をした。分かってくれないんだと残念がっているのだろうか。 自分も彼女が欲しかった時期なので、貴子でもまぁそうゆう流れになればそれはそれで良いかな。というレベルで僕は貴子に少ながらず...

記事を読む

『プレゼント~Merry X’mas~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~Merry X’mas~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~Merry X'mas~』  終業式の日。僕は、佐野(さの)さんに「今夜、空いてますか?」と訊かれ、空いているです、と頷いた。すると、佐野さんは笑って「じゃ、今夜は俺に時間をください」と言った。  そして、夜というか夕方。  今日は十二月二十四日。  一般的には恋人同士がイルミネーションを見たり、家族がサンタクロースの話をしていたりする日なわけで。  僕は地元―藁谷町(わらやのまち)駅の駅前で、佐野さんを待っていた。  真冬だということもあり、とてつもな...

記事を読む

『プレゼント~あ、た、し~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~あ、た、し~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト52

『プレゼント~あ、た、し~』 「これやってみたいんだー」 実花が嬉しそうに見せてきたananの表紙には『プレゼントはあ、た、し♡を実際にやる方法』と見出しが。どうやらマガジンハウス社は頭がおかしくなったようだ。 雑誌の中身を確認すると「自分自身をプレゼントして許される女の子は?」「自分自身をラッピングする方法」などが書かれてある。これが大真面目なんだから恐ろしい世の中だ。 「ね、だから由利に助けて欲しいの」 彼女は自分自身にリボンを結びつけたいらしい。東急ハンズに勤務...

記事を読む

『将棋~転生~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~転生~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~転生~』 目が覚めたときには部隊の最前線に並んでいた。 手には小刀が握られている。これで戦えというのだろうか。 状況を確認しようと周り見渡すと、右にも左にも私と同じ顔の奴がいた。 全部で九体。彼らの手にも小刀が握られている。 さらに前方ではこちらを向いた私が同じように小刀を握って並んでいる。 隣にいる奴、向かい側の奴、私という順番で動いた。 どうやら私の軍と敵の軍は交互に、しかも一体ずつ動けるらしい。 それを決めるのが誰かはわからなかったが、後方にいる王ではな...

記事を読む

『将棋~対局~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~対局~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~対局~』 僕は、たまに将棋を指す。  趣味とまではいかないが、時間があったら指している。  相手は友人だったり、家族だったり。  今日も、仕事が思ったより早く片付き、指そうかと思っていた。  だが、僕の部屋から妻の「文(ふみ)くん! めっ!!」という声が聞こえた。そして、僕が部屋に行くと、息子が僕の将棋の駒を床に散らかしていた。 「おっと、これじゃあしばらくは指せないな」  と、僕が苦笑すると、妻は「あ、えっと」と少し慌てる。 「こら、文くん。お父さんがそれを...

記事を読む

『将棋~空間認識~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~空間認識~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト51

先生が黒板に何かを書いている。僕は上の空でそれを眺めていると、数手良い手が思いついた。 国語のノートだったが関係ない。この手を記録するため、すぐにノートに書いてみた。 完璧な穴熊だ。一人それを見てニヤニヤしていると先生が横にいた。 「君は何を書いてるんだ?」と詰問してきたので、 「すいません。落書きです。」と応えると 「消しなさい。」と言われたので仕方なく消した。それから僕は机に直接書くことになる。 友達は僕の机を見て気持ち悪がった。その机はいろいろな駒の形を無数に記録し...

記事を読む

『暖炉~ルービックキューブ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~ルービックキューブ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~ルービックキューブ~』 ホームパーティーという名のもとで親に連れて行かれた場所はこの街で一番の豪邸だった。 親以外は全く知らない環境で緊張していた僕に対し、 親は「ほら、お友達がいっぱいいるよ。遊んでおいで。」とだけ言い放ち、知り合いらしいおばさんと談笑する。 確かに僕以外に10人程子どもがいて、彼らはお互いを知っているのか知っていないのか隅の方で余所余所しく遊んでいた。 僕は何か一人で遊べるものがないかを探しルービックキューブが転がっていたので、これはラッキー...

記事を読む

『暖炉~見やすさ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~見やすさ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~見やすさ~』 暖炉のある部屋で最も座りたい場所はどこか。 おそらく多くの人間は暖かい場所を選ぶだろう。 一般的にも一番暖を取りやすい場所が上座になるらしい。 だが、私はそこを選ばない。 私は炎を見やすい場所に座りたい。 暖を取りやすい場所と炎を見やすい場所は似ているようで違う。 暖を取るだけであればできるだけ近づけば良いのだ。 実際に暖炉のすぐ傍ではペットの犬が寝そべっている。 犬は目を瞑っている。元はどこかで保護されたのだが、今では私の家で上品に振る舞って...

記事を読む

1 2 3 4 5 6 7 19