2017年12月 一覧

『将棋~転生~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~転生~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~転生~』 目が覚めたときには部隊の最前線に並んでいた。 手には小刀が握られている。これで戦えというのだろうか。 状況を確認しようと周り見渡すと、右にも左にも私と同じ顔の奴がいた。 全部で九体。彼らの手にも小刀が握られている。 さらに前方ではこちらを向いた私が同じように小刀を握って並んでいる。 隣にいる奴、向かい側の奴、私という順番で動いた。 どうやら私の軍と敵の軍は交互に、しかも一体ずつ動けるらしい。 それを決めるのが誰かはわからなかったが、後方にいる王ではな...

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『将棋~対局~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~対局~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~対局~』 僕は、たまに将棋を指す。  趣味とまではいかないが、時間があったら指している。  相手は友人だったり、家族だったり。  今日も、仕事が思ったより早く片付き、指そうかと思っていた。  だが、僕の部屋から妻の「文(ふみ)くん! めっ!!」という声が聞こえた。そして、僕が部屋に行くと、息子が僕の将棋の駒を床に散らかしていた。 「おっと、これじゃあしばらくは指せないな」  と、僕が苦笑すると、妻は「あ、えっと」と少し慌てる。 「こら、文くん。お父さんがそれを...

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『将棋~空間認識~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト51

『将棋~空間認識~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト51

先生が黒板に何かを書いている。僕は上の空でそれを眺めていると、数手良い手が思いついた。 国語のノートだったが関係ない。この手を記録するため、すぐにノートに書いてみた。 完璧な穴熊だ。一人それを見てニヤニヤしていると先生が横にいた。 「君は何を書いてるんだ?」と詰問してきたので、 「すいません。落書きです。」と応えると 「消しなさい。」と言われたので仕方なく消した。それから僕は机に直接書くことになる。 友達は僕の机を見て気持ち悪がった。その机はいろいろな駒の形を無数に記録し...

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息子1歳10カ月『好き嫌いと、感染性胃腸炎と、数字のカウントと』

息子1歳10カ月『好き嫌いと、感染性胃腸炎と、数字のカウントと』

『好き嫌い』 好き嫌いが出始めたみたいで、特に食べ物でもこれは食べる。これは食べないの差が出てきました。 嫌なものは首を振る。スプーンで口まで持っていっても食べない。 かと思いきや、急に食べ始める。など中々難しい年頃になってきました。 それも自我が芽生えてきた証拠として温かく見守ってやろうと思いますが、 料理を準備している嫁さんの気持ちになってみると。。。汗 『感染性胃腸炎』 ある日、息子が嘔吐した物を手で受け止めたことが原因だと思うのですが、 息子が発症し、...

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『暖炉~ルービックキューブ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~ルービックキューブ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~ルービックキューブ~』 ホームパーティーという名のもとで親に連れて行かれた場所はこの街で一番の豪邸だった。 親以外は全く知らない環境で緊張していた僕に対し、 親は「ほら、お友達がいっぱいいるよ。遊んでおいで。」とだけ言い放ち、知り合いらしいおばさんと談笑する。 確かに僕以外に10人程子どもがいて、彼らはお互いを知っているのか知っていないのか隅の方で余所余所しく遊んでいた。 僕は何か一人で遊べるものがないかを探しルービックキューブが転がっていたので、これはラッキー...

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『暖炉~見やすさ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~見やすさ~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~見やすさ~』 暖炉のある部屋で最も座りたい場所はどこか。 おそらく多くの人間は暖かい場所を選ぶだろう。 一般的にも一番暖を取りやすい場所が上座になるらしい。 だが、私はそこを選ばない。 私は炎を見やすい場所に座りたい。 暖を取りやすい場所と炎を見やすい場所は似ているようで違う。 暖を取るだけであればできるだけ近づけば良いのだ。 実際に暖炉のすぐ傍ではペットの犬が寝そべっている。 犬は目を瞑っている。元はどこかで保護されたのだが、今では私の家で上品に振る舞って...

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『暖炉~思ひ出~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~思ひ出~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト50

『暖炉~思ひ出~』  僕の母方の祖父母の家には暖炉があった。  その前には、揺り椅子があり、僕はよくそこで寝ていた。  祖父はそんな僕に優しく布団を被せ、祖母は燃えないように暖炉から揺り椅子を少し離した。  目を覚ますと、いつも暖炉の火は消えており、僕が申し訳なさそうにすると、祖父母は笑って「構わんよ」と言った。  少ししてから、父が「お義父さん、お義母さん」と薪を持ってきて、暖炉の中に放り、火をつける。 「お、優(ゆう)。目を覚ましたのか」 「おはよ、父ちゃん」 「...

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