2018年03月 一覧

『カーテン~準備が大事~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~準備が大事~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~準備が大事~』 「カーテンってこんな高いの?」全てはこの一言から始まった。 「まぁまぁするねー。」と彼女は言う。相変わらずユルい感じだ。 「ちょっと待って。あの家って窓何個あるんやった?」僕は部屋の中を順繰り思い浮かべながら数えている。 「小さいのが8つと、大きいのが6つだよ。」僕は驚くが、意外としっかりしている彼女にこれからの安心感を覚えていた。 「じゃあこの一番安い6000円のを平均にしても6000円かける14で・・・」僕が暗算をしていると 「84000円...

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『カーテン~内緒で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~内緒で~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~内緒で~』 何だかんだで、僕と川中さんは互いの家を行き来する仲になった。  事の発端は、僕があまりにも色々なことができないからなのだけれど。  川中さんは、そんな僕を「仕方ないですね」とため息混じりに言い、優しく家に入れてくれる。  今日は珍しく川中さんから「家に来て」と言われ、少しルンラルンラしながら川中さんの家に向かっている。  僕の家から、歩いて十五分くらい。  走ったら五分。 「スキップしながら行くか」  僕はスキップしながら川中さんの家の前まで行...

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『カーテン~買換~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~買換~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト58

『カーテン~買換~』 何だかんだで、僕と川中さんは互いの家を行き来する仲になった。  事の発端は、僕があまりにも色々なことができないからなのだけれど。  川中さんは、そんな僕を「仕方ないですね」とため息混じりに言い、優しく家に入れてくれる。  今日は珍しく川中さんから「家に来て」と言われ、少しルンラルンラしながら川中さんの家に向かっている。  僕の家から、歩いて十五分くらい。  走ったら五分。 「スキップしながら行くか」  僕はスキップしながら川中さんの家の前まで行き...

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息子2歳2カ月/娘0歳3か月『いやいや期到来、お母さんお父さん、園庭解放』

『イヤイヤ期到来』 自己主張が激しい年頃になってきました。 テレビを観たい!しまじろうのDVDが観たい!あそこには行きたくない!野菜が入ってるから食べたくない! 思い通りにいかないと泣きだす始末。困ったものです。 特に嫁さんはずっとそれに付き合わないといけないので大変そうです。 大人は大人でやらなければいけないことや順序があるのですが、もうお構いなしに自分のペースをぶつけてくるので、その対応がしんどいと思います。 ごはんに関しても、せっかく嫁さんが作ってくれたものが食...

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『涙~悲鳴~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~悲鳴~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~悲鳴~』  わたしは話をすることができない。  口から出るのは嗚咽に似た何かだ。  それに気づいてからは、わたしは口を利かないようにした。  母には「どうして、口を利かないの」と言われるが、それを答えることは口ではできない。  母はわたしが普通の子でいるように言った。  ゆえに、話をすることができないという異常は許されないのである。  わたしは誤魔化すように笑って頷く。 『本当は、たくさん話をしたいんだ。だけど、口から言葉が出てこないんだよ。これをあなたに知られ...

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『涙~採取~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~採取~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~採取~』 恋人に振られて、大きなビルの前で泣いている私。 声を押し殺しながらただただ涙を流していました。 ほとんどの人はこちらに気づくこともなく通りすぎていき、 たまに気づいた人でさえも知らぬフリをしています。 まあ、優しい誰かに話しかけられても「構わないでください」としか答えるつもりでしたが...... そんな私の前に一人の男性が現れました。 どこかのパーティの帰りでしょうか、恐らくは歳は40過ぎ。 素敵なタキシードを着こなして、右手にはステッキを持っています...

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『涙~ちゃんとした涙~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~ちゃんとした涙~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト57

『涙~ちゃんとした涙~』 いつも笑っている彼女が涙を流していた。 僕はどうしたの?と聞くと彼女はなんでもないよと言う。 僕は「なんでもないことない。泣いてるじゃないか。」と問い詰めることが優しさなのか 「いつでも相談にのるからね」と問い詰めないことが優しさなのかを迷い、後者を選択した。 後日彼女はいつものように笑っていた。僕は少し安心して遠くから彼女を見ていた。 すると後方から背の高い男性がやってきて親しげに会話をする。僕は少し嫌な気持ちになった。 知り合いの知...

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『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』 嫁が寝静まったのを見計らうと僕はそっとスマホを置いた。 衣擦れの音を気にしながら僕はベッドから立ち上がる。 嫁はいびきをかいて寝ていたので少し安心した。 明日の朝食と称しセブンイレブンの袋を冷蔵庫に入れる習慣は嫁へのフェイクで、来るべき日に備えての準備だった。そして今日がその時、僕は冷蔵庫を開け、セブンイレブンの袋からプリンを取りだした。 そっと冷蔵庫を閉めると、僕は音がギシギシ鳴る床を避けてトイレへ向かう。そこが一番の安全地帯であり言い訳が...

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『プリン~甘くない~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~甘くない~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~甘くない~』 ∫  ぷるんとしていない、そんなプリンが好き。  ケーキのような、そんな……。  そして、甘すぎない、少しだけ甘い……。  そこに、ほろ苦いカラメルソースを絡めて。 「どう?」  笑って貴方(きほう)に渡すプリンには、またちょっと隠し味を。  それに気づいた貴方は私に言う。 「君のそういうところ、嫌いじゃあないよ」 「気づいたの」 「僕はずっと君といるからね」  プリンをすくって、貴方は私の口に運ぶ。 「たまには、こういう終わりも...

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『プリン~上辺~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~上辺~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~上辺~』 市販のプラスチック容器のプリンを白いお皿に移した。 黄色いプリンの上部にはカラメルソースがかけられている。 「せーの」 『いただきます』 娘の楓花とのおやつの時間だ。4歳の娘には一人分のプリンはまだ多すぎるので、いつも二人で分けている。 今から食べ始める、というところで楓花が不思議なことを口にした。 「ぷりんのおいしいところもらうね」 「ん?」 意味が分からない私は行動を見守ることにした。 すると彼女は小さな手でスプーンを持ち、プリンの上...

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