『痕跡~うんこ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト62

『痕跡~うんこ~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト62

『痕跡~うんち~』 ベッドのマットにうんこをした痕跡があった。原因は明らかだ。僕がもらしたのだ。 昨晩スイカを食べたこと、半袖半ズボンで寝たこと、髪を乾かさずに寝たことが原因だろう。 夜中、おなかの調子が悪くなり、朝方おならかうんこかのフィフティーフィフティーに賭けたところ、負けてしまった。 僕はすぐにトイレに駆け込み、残りのうんちを出した。 トイレットペーパーを多めに出してトランクスの内側のうんちを丁寧に拭いた。 風呂場に行くと洗面器に水を張り、洗濯用洗剤をぶっかけてト...

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『痕跡~野良猫の生き方~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト62

『痕跡~野良猫の生き方~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト62

『痕跡~野良猫の生き方~』 人間が一人もいない深夜の公園で、野良猫のコテツは困っていた。 目の前のうんちの後処理をしなければならないためである。 早くしないとこの地域のボス猫に見つかってしまうのだ。 今までは自分のうんちの後始末など気にする必要がなかった。 自然に囲まれた田舎では自分以外の猫と遭遇することなどほとんどなかったからである。 だが今いる都会はどうか、少し路地に入ると野良猫で溢れている。 基本的に猫は単独行動だが、狭い範囲に大勢の猫が集まると、どうし...

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『痕跡~生痕~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト62

『痕跡~生痕~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト62

『痕跡~生痕~』 「――ということなんだけど、どう? 川中さん」  職場の後輩・佐々塚優さんが、とても目を輝かせて俺を見る。  俺は真顔で「はあ……」と、とりあえず頷く。 「全く、意味がわかりませんけれど。佐々塚さんがやりたいなら、どうぞ」 「ありがとう! よし、じゃあ夏休み! 一週間休みを取りなよ?」 「ええ、わかりました」 「取らなかったら、食い殺すからね!」 「全力で取ります」 ∫ ――僕たちが一緒にいた―― ――一緒に生きていた―― ――そ...

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『豚~ブタ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~ブタ~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~ブタ~』 「豚を知ってますか?」  何の脈絡もなく隣にいる梔さんが、俺に話しかける。 「社長、聞いてます?」 「え? うん。聞いているけど」 「なら、答えてください」 「え、まあ豚くらい知っているけど。どうした?」 「豚って、とても綺麗好きらしいですよ。あのなりで」 「あのなりで、て……」  さらっと酷いというか失礼なことを言うなあ、と思いながら。  俺は梔さんを見る。 「で、その綺麗好きな豚の話を、なぜ、急にしだしたの?」 「いや、先日そのことを合コン...

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『豚~食われる~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~食われる~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~食われる~』 ふとTVを観ていると 「この豚はなんでこんなに美味しいんですか?」とどこかの芸人が尋ねた時に、 「実は良質などんぐりを日々食べさせているからなんです。」と応えた瞬間に画面が切り替わった。 そこにはどんぐりを一心不乱に食べる豚が映しだされ、それを見守る養豚業者の方がいた。 僕は何気なく『豚 食われる側』と検索する。 すると、『千と千尋の神隠し』において何故千尋の両親は豚になったのかというサイトだった。 そこには、新たな場所に踏み込んだ時に生命力を発...

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『豚~跳べない豚~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~跳べない豚~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト61

『豚~跳べない豚~』 「飛べない豚は只の豚」 なんて言葉が生まれてから、どれだけの太ったことが嫌な思いをしたことか 「次、藤川」 先生に呼ばれて、僕は重い腰を上げる。 「ブタじゃん」 「どうせ無理だよ」 みんな、僕に聞こえないように、なんて気を遣うことはしなかった。 遠くにある跳び箱を見つめた。 四段、60センチの木箱にさえも笑われてる気がした。 ピッ、と笛の音で動き出す。 笛一つで動き出す。この行為さえも、自分がしつけられた豚のように思えた。 ゆっくり...

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息子2歳3カ月/娘0歳4カ月『神戸アンパンマンミュージアム、外への欲求、兄妹の違い』

息子2歳3カ月/娘0歳4カ月『神戸アンパンマンミュージアム、外への欲求、兄妹の違い』

『神戸アンパンマンミュージアム』 に行って参りました。学生以来、久しぶりに神戸に行くと凄く綺麗で良い街だと改めて感じました。 特にMOZAIC UMIE ハーバーランド 神戸タワー 美術館 アンパンマンミュージアムと海岸沿いは良いですね。丸一日遊べます。 UMIE第6パーキングに停めると目の前がアンパンマンミュージアムです。 平日に行けば3時間は駐車料金無料なのでオススメ。午後からだと駐車場は満車でしたので、10時迄に行くことをオススメします。 アンパンマンミュージアム...

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『アルバム~卒業~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~卒業~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~焦燥感~』 ホームルームの時間にも関わらず卒業アルバムが配布されるとクラス中がお祭り騒ぎになった。 教師も卒業間近の生徒たちを咎めることなど無く、一緒にアルバムを捲り懐かしんでいるようだった。 生徒たちもスマホを取り出し教師に写真を求めるなど、もう自制が効かない状態だった。 僕はホームルーム自体がこのままいつ終わるのだろうかと内心いらいらしていた。 この雑音まみれの教室から早く出たいのだが教師自体がこの調子では『終わり』が見つからない。 でも僕は教師に対し...

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『アルバム~笑顔~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~笑顔~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~笑顔~』 最後の挨拶が終わり、教室の中央には大きな輪が形成されていく。 扉から出て行く俺に背中を向けているにも見えた。 すでに教科書は自宅に持って帰っていたため、この日唯一の荷物と言えば大きな卒業アルバムだった。中身に興味がない俺にとっては只の重たい紙の束でしかない。 「ただいまー」 「おかえり、卒業おめでとう、早かったね」 母さんは俺が卒業式なのにすぐ帰って来たことに対して、何も思わないのだろうか。 俺は何も言わずに、アルバムをリビングのテーブルに置...

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『アルバム~回想~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~回想~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト60

『アルバム~回想~』  火野(ひの)先生は、僕たちオカルト研究会の顧問である。  昔、火事に遭って、右目の視力を失い、火傷を負ったため、包帯で顔の右を隠している。  いつも、火野先生は笑っている。  ニコニコしていて、優しい人。  授業は面白いし、部活では少し離れたところで僕たちを見守ってくれている。  そんな火野先生は、たまに懐かしそうに古いアルバムを開いて見ている。  今日も、見ていた。  何となく気になって「先生」と声をかけると。  火野先生は、静かにアルバム...

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