『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~神々しい黄色~』 嫁が寝静まったのを見計らうと僕はそっとスマホを置いた。 衣擦れの音を気にしながら僕はベッドから立ち上がる。 嫁はいびきをかいて寝ていたので少し安心した。 明日の朝食と称しセブンイレブンの袋を冷蔵庫に入れる習慣は嫁へのフェイクで、来るべき日に備えての準備だった。そして今日がその時、僕は冷蔵庫を開け、セブンイレブンの袋からプリンを取りだした。 そっと冷蔵庫を閉めると、僕は音がギシギシ鳴る床を避けてトイレへ向かう。そこが一番の安全地帯であり言い訳が...

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『プリン~甘くない~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~甘くない~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~甘くない~』 ∫  ぷるんとしていない、そんなプリンが好き。  ケーキのような、そんな……。  そして、甘すぎない、少しだけ甘い……。  そこに、ほろ苦いカラメルソースを絡めて。 「どう?」  笑って貴方(きほう)に渡すプリンには、またちょっと隠し味を。  それに気づいた貴方は私に言う。 「君のそういうところ、嫌いじゃあないよ」 「気づいたの」 「僕はずっと君といるからね」  プリンをすくって、貴方は私の口に運ぶ。 「たまには、こういう終わりも...

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『プリン~上辺~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~上辺~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト56

『プリン~上辺~』 市販のプラスチック容器のプリンを白いお皿に移した。 黄色いプリンの上部にはカラメルソースがかけられている。 「せーの」 『いただきます』 娘の楓花とのおやつの時間だ。4歳の娘には一人分のプリンはまだ多すぎるので、いつも二人で分けている。 今から食べ始める、というところで楓花が不思議なことを口にした。 「ぷりんのおいしいところもらうね」 「ん?」 意味が分からない私は行動を見守ることにした。 すると彼女は小さな手でスプーンを持ち、プリンの上...

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『上司〜ボトルネック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト55

『上司〜ボトルネック〜』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト55

『上司〜ボトルネック〜』 僕の上司の課長が、部長に怒られているのを僕は横目でみている。 どうも資料の数字が違っていたようで、そんなの「すいませんでした。すぐ直します」で済む話なのに部長お得意の粘着質のある喋り方が課長を追い詰める。 部下の立場からして直属の上司が追い詰められてるのは少し居心地が悪い。その後機嫌が悪くなるのは当たり前だし、すぐに資料やメールのチェックをしてもらいにくくなる。 自分が怒られてるのを部下はどう見てるんだろう?なんて課長の立場になり自分も考えたりすると...

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息子2歳/娘0歳『誕生日と、動物カルタと、いやいやの目覚め』

息子2歳/娘0歳『誕生日と、動物カルタと、いやいやの目覚め』

『誕生日』 1月に娘が産まれ、2月に息子が2歳になりました。冬生まれ兄妹です。 川端風太郎という有名なケーキ屋さんの美味しいショートケーキをみんなで食べました。 好きなものを初めに食べる息子はイチゴから食べます。 そして、無くなるのが嫌なので、ストック用に親からイチゴを確保してから他のものを食べます。 食事に関してはこのような知恵が働きだし、嫌いなものは避け好きなものをストックするようになってきました。 食を選び出すので嫁からしたら大変です汗 『動物カルタ』 ...

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『上司~Super.B~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~Super.B~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~Super.B~』 オフィスでは、今日もみな忙しそうに働いている。 ある者は取引先に送るメールを作成し、ある者はエクセルに四苦八苦している。 一人の新人が先輩に質問した。 「今度の企画、二つの案を考えたんですけど、どちらにしたらいいでしょうか?」 それに対して先輩が答える 「ああ、それはSuper.Bに聞けばいいよ」 また別の新人が、別の先輩に質問をした。 「この書類はどこで管理したらいいですか?」 「うん、それもSuper.Bに聞いたらいいよ」 新...

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『上司~涙酒~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~涙酒~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト55

『上司~涙酒~』  俺の住む町は、小さい町だけれど居酒屋などが多くある。  その中で、一番安心するのが大衆居酒屋で、今日は何となく一人で飲みに来た。  のだけれど。  なぜか、飲んでる途中で同僚たちが来て、結果いつもの飲み会になった。 「なぜ来たのかについて、説明はしてくれないんだな…」 「神呪(かみの)さんだって、俺が一人で飲んでると来るじゃんか」 「それは、タダで飲めるから」 「最低だなあ、相変わらず」  けど、と同僚――と言うか社長は言う。 「それが君なんだ...

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『電柱~シアトル~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~シアトル~』黒川洸太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~シアトル~』 ホームステイ先に帰るバスで日本人っぽい女性を見つけた。背が高くショートカットで目が大きかった。 大体歳も同い年ぐらいだろう。韓国人や台湾人の可能性もあるが化粧の仕方や眉毛の形が日本人だと思った。 席が空いているバス内で、僕は座っており、彼女は立っていた。大きく横揺れのするバスなのに不思議に思った。 海外だからなのか、もう二度と会うことが無いという思いからか、僕は知らず知らず彼女に話しかけていた。 「どうして座らないの?」 彼女は僕の方を見てキョトンと...

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『電柱~チャンス~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~チャンス~』白川湊太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~チャンス~』 憧れの彼女と並んで帰れるだけでも幸運なことだった。 「話したいことがあるんだ、一緒に帰らない?」 そこまでは言えた。しかしその後が大変だった。 「寒いね」 「うん」 「それで、話ってなにかな?」 まだ言い出す勇気はなかった。何かきっかけが欲しかった。 辺りを見渡し、きっかけを探す、とすぐ近くに電柱が見えた。 「あの、電柱に着いたら話すよ」 「……わかった」 視界に入る距離なんてあっと言う間に辿り着いてしまう。 しかし、俺はまだ言い出す勇気...

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『電柱~のろい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~のろい~』緑川凛太郎-ショート小説コンテスト54

『電柱~のろい~』 「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ、よーっつ」  弟の美鶴(みつる)は、僕と手を繋ぎながら一本ずつ電柱を数える。  僕はそれをうるさいな、と思いながらも一応は聞いてあげている。  美鶴は十まで数えたあと、数えなくなる。  わざとなのか、数えられないのか。  僕にはわからない。  気にはなっているのだ。  毎日毎日、家から学校や病院、スーパーなどまでの間の電柱を数えていて。  いつも十から先は数えなくて。 「なあ、美鶴」  僕は美鶴に訊く。 「何...

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